ホワイト家「お父さん」とエリマキトカゲ

2008.05.20

営業・マーケティング

ホワイト家「お父さん」とエリマキトカゲ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

歩行者天国を散策していたカップルの女性が、ふと「あ、お父さん」とつぶやき、彼氏が「あ、ホントだ」と言った。偶然、彼女の父親と出くわしたのかと思いきや、その視線の先には・・・

・・・飼い主に連れられた一匹の白い日本犬がいた。二人だけではなく、道行く人々が口々に「お父さんだ」「かわいい」とほめそやしていた。もはや「白戸(ホワイト)家のお父さん」は日本の父親の代表になったようだ。

よくできた広告は、大流行し、一種の社会現象をおこす。特に概ね単一民族で構成されている日本においては価値観や行動の同質性が高いため、その傾向が顕著なようだ。ソフトバンクモバイルの広告は、CM総合研究所による、会社別・作品別・銘柄別のCM好感度で07年8月から三冠を7回獲得しているほどの大人気。もはや白戸家の人々と、特に「お父さん」を知らない人はほとんどいない状況だ。

日本中が誰でも知っている、一種の社会現象となったCMといえば、「エリマキトカゲ」を記憶している人も多いのではないだろうか。1984年放映なので、あまり若い方は分からないかもしれないが。
岩混じりの砂漠を、首に奇妙な傘を広げたような器官を持ったは虫類が、後ろ足で立ち上がり、がに股でドタドタと走り回っている映像は非常にインパクトが高かった。当時、そのは虫類「エリマキトカゲ」は一種のブームにもなり、小学生などはそのユーモラスな走る姿を模して遊んだものだった。

さて、では「エリマキトカゲ」のCMを覚えている方、問題です。何のCMだったでしょうか?
・・・「自動車」と思い出せた方。いいセンいってます。では、どのメーカーの、何の車種だったでしょうか?
・・・答えは三菱自動車の「ミラージュ」。ほとんどの方が覚えていなかったのではないだろうか。「何十年も経てば忘れていても無理ない」という意見もあるだろうが、実は放映当時も、商品の想起率は非常に低かったという。

生活者の購買態度変容を表わすモデルに「AIDMA」がある。生活者に商品を認知させてから、購買させるまでをAttention(認知・注意喚起)→Interest(興味獲得)→Desire(購買欲求喚起)→Memory(記憶)→Action(購買喚起)の5段階に分けて考える。最初のAから最後のAまでの段階を、広告や広報、販売促進、人的販売などによって進めていくのがポイントだ。その中で、広告はAttentionかInterestあたりまでを担うと言われている。

「エリマキトカゲ」はAttentionは抜群だった。しかし、映像の動物と商品が結びついていなかったのが問題だった。「史上元も有名で、効果がなかったCM」などと評する口の悪い広告関係者もいる。「面白い!」とInterestを獲得できているじゃないかと思われるかもしれないが、Interestはあくまで商品に対する興味を獲得しなくてはならないのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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