「格差は存在する」と子ども達に伝える教育も必要だ(後)

2008.05.19

ライフ・ソーシャル

「格差は存在する」と子ども達に伝える教育も必要だ(後)

寺西 隆行
(株)Z会

格差はひどい、の大合唱。 「こんな格差があっていいものでしょうか?」 ごめんなさい、マスコミで流れる安易なこのような投げかけには完全に閉口する自分がいます。 まずは自分でどうにかなるところからどうにかしませんか?(後編)

甘やかしすぎ!!!

「恵まれてるからそんなこと言えるんだ!」とおっしゃるかもしれませんが、僕は紛れもなく、最下層からの出発ですよ。

親父が酒とギャンブルで借金まみれになり、毎日のように怖いお兄さんたちが取り立てにくる家でした。生まれ育った土地と家は借金のかたに売り払われ、とっくにありません。両親は離婚してます。大学1年の時から4年以上付き合っていた彼女の親からは「野良犬同然」と言われ、ずっと反対されていました。

離婚後も親父は中年ニート。親父は祖父母とともに暮らし、その年金で生きていましたが、次々と祖父母がなくなると収入がなくなり、ガス・水道・電気全部止まり、ホームレス状態に。冬は車検の切れた車の中で生活する日々。最低限のお金を渡しても、すぐにギャンブルと酒。親戚や近所の人にまでお金を無心してまわり、ついには、東京にいる僕にまで借金取りから督促の電話が。これ、去年の話です。弁護士さんにお願いして自己破産させ、生活保護をもらい、現在は長期入院中。

学校はもちろん、小・中・高・大とずっと公立です。現役で某国立大に合格したものの、元カノに泣きつかれ、大学を蹴って広島に行きました。もちろん、お金のない家庭ですので、僕はこのときから、自活しています。週7日間バイトする予備校生。それでも、全国模試1位を取りましたけど?

大学教員を志し、大学院進学を希望した際、親族一同から反対されました。就職して家にお金を入れてくれることを期待していたからです。原稿用紙70枚にものぼる「僕が大学院に進学したい理由」という原稿を書いて説得。もちろん、日々暮らすのがやっとでしたので、お金はありません。大学院の定員は10名でしたが、僕にとっては1人でした。トップなら学費免除+奨学金。2位以下なら、合格しても辞退して、高松に戻り、日雇いでも何でもするという約束で受験しました。トップ合格したので今があります。

(中略)

経済格差があれば、子ども格差が…?

甘えるんじゃない!!

甘やかすんじゃない!!

僕は自分の境遇をマイナスと思いません。今の自分があるのは、あの環境のおかげです。そりゃあ、隣の芝生を青いと思ったことは何度となくありましたが、羨んでも仕方ないものは仕方ない。お金がないからこそ、裕福な家庭に生まれ育った人にはできない経験ができる。この境遇、ラッキーじゃん!!そう考えて生きてきました。

どんな社会であろうと、どんな境遇であろうと、最終的には、自分を守る最後の砦は自分自身なんですよね。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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