交渉をしない??営業マンとバイヤー

2008.05.18

経営・マネジメント

交渉をしない??営業マンとバイヤー

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

優秀なバイヤーは「交渉」に時間をかけません。 何故でしょうか?

以前、ある優秀なバイヤーさんと話をした時に
「私は交渉はしない」という方がいらっしゃいました。

その時は「そういう人もいるんだな」程度で
あまり深く考えていなかったのですが、考えてみると凄いことです。

坂口さん的に言いますと
「“利益”と“仕入れ”の仁義なき経済学」であり、
営業は一円でも高く売ることを考え、
バイヤーは一円でも安く買うことを考えています。

そういう中で「交渉しない」とともすれば
「高く買う」ことにつながるでしょう。
それでは「交渉しない」で「安く買う(というか高く買わない)」ことは
どうしたら実現できるでしょうか?

先週末に購買ネットワーク会の幹事の方が主催する
「材料費高騰とたたかうバイヤーの集い」なる会に参加してきました。
現場バイヤーの方々が昨今の材料高騰に如何に対応しているか、
という興味深い議論で色々な点で参考になりました。

この会の模様については別途また書きたいと思いますが、
その中でたいへん興味深い話を聞くことができました。

昨今の材料費高騰の中、多くのケースでまずはA4一枚で
「昨今の原材料の高騰で・・・自社にてコスト高騰を吸収してきましたが、
企業努力も限界に達し・・・AAにつきまして○%(×円/Kg)の
価格見直しをお願いいたします。」的な要請があり、
それに対しサプライヤさんには便乗値上げを抑制すべく
「値上げの根拠を提出してくれ!」と当然のことながら求めるわけです。

一方で、コストアップ要請額の妥当性を評価するため、様々な市況情報から、
バイヤー側でもコストアップ額の幅、時期を推計します。

その過程であるバイヤーさんがおっしゃるには
「コストアップ推計をすると、ほぼサプライヤの値上げ要請額になる」
ということでした。
またそういう方が一人だけでないことも分かりました。

実はこれは非常に興味深いことで、
サプライヤさんが「いい加減な見積り」を出していない。
ということの証明になるわけです。

先の優秀なバイヤーさんが「交渉しない」と明言されたのは
「いい加減な見積り」が出てこないから
「交渉する必要すらない」ということなのです。

日頃出てきた見積書を赤鉛筆で修正しているだけのバイヤーに対しては、
100円のものを120円で見積書を出し、20円査定されて、
当初考えていた100円で売る、というサプライヤ側の思惑に
まんまとはまってしまいます。

それに対して、自分で軸を持ち、物の価値やコストを推計する能力がある
優秀なバイヤーに対しては「いい加減な見積り」は出せなくなります。

つまり優秀なバイヤーであれば「交渉する必要すら」なくなるのです。

このような環境を作ること、
これもバイヤーにとっての重要な「交渉しない技術」なんだな、
と再認識しました。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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