【コア事業進化論】(著)べイン&カンパニー

2008.04.23

ライフ・ソーシャル

【コア事業進化論】(著)べイン&カンパニー

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

べイン&カンパニーがお得意の「成長戦略」について、その知見を記しています。この会社、1プロジェクトあたりのチャージはすごいですよね。戦略コンサルティングの最高値です。その成長戦略に関する知見は非常に興味深いものです。

 べインにいた元同僚が言っていましたが、「成長戦略」案件が本当に多いそうです。財務的な企業価値を最大化することをコンサルティングバリューとして規定していることに特徴、競争優位の源泉がある会社ですからね。ちなみに、べインのクライアント企業は、スタンダード&プアーズ500の株価指数の5倍のパフォーマンスだそうです。すごいですね・・・。

 コア事業をベースにして、コア事業を強化しつつ、新規事業をしっかりやっていかないと、財務的企業価値ははっきり分かるほど上がらないですもんね。

 BPRばっかりやっても、財務的な企業価値はそんなに上がらないですね・・・。成長戦略が間違っている会社のBPRやっても虚しいです。

 さて、この本の原題は「Unstoppable」- Finding Hidden Assets to Rnew core and Fuel Profitable Growth - となっています。

 アンストッパブル、「止まらない成長」ですね。企業価値が、株主価値の最大化である、というのを信じるのならば、成長を止めることはできません・・・。成長し続けなければなりません。そして、この本の主張によると、止まらない成長を遂げている企業は確かに存在する、と。

 それがべインのクライアントだ!とまでは言っていませんが・・・。

 副題は「コア事業を生まれ変わらせて、収益をもたらす成長を加速する隠れた企業資産を見つけましょう」ですね。

 コンサルティングファームが書いている本だけあって、タイトル、サブタイトル、中身は非常にカッチリした論理構成で出来ています。事例も豊富で、至極まっとうな主張をしているので、読みやすく、サマライズしやすいです。

 それと、この会社では、プロジェクトのフォーカスをきっちり詰められないマネジャーはプロジェクトメンバーからの突き上げにあい、評価が下がるそうです。そういうカルチャーのせいか、この本もフォーカスがどこなのか、類似する研究との位置づけの違いはなんなのか、に関して、前書きに相当明快に書いてありますね。

 前置きが長かったですが、サマリーは・・・

 事業環境の変化がより速く、より激しくなってきている。そのせいで、自社のコア事業の大幅な戦略転換をせざるを得ない状況がより頻繁に生じている。

 本書では、コア事業を継続しながら、いかにコア事業モデルを根本的に変換するか?ということにフォーカスする。

 コア事業が脅威にさらされたからといって、大型買収によって、大規模な事業転換をいきなり実施したり、大化けするかもしれないアイデアを追求したり、焦ってよく知らない急成長市場に参入したり、無策のままでいれば脅威が去ると考え、無策のままでいたりしても、多くの場合はうまくいかないことがわかっている。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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