『空手バカ一代』じゃないけれど

2008.04.23

ライフ・ソーシャル

『空手バカ一代』じゃないけれど

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

40でフルコンタクト空手を始めて8年、痛い思いをしながらも何とか続けてきた。いま秘かにオヤジの間で人気だと言われる武道を続ける効用、特にビジネスにどんなメリットがあるのかを少し考えてみたい。

あまりにも当たり前すぎてつまらない悟りではあるけれど「世の中に
すごい人はなんぼでもおる」ことを知り、自分の肩の力を抜くことが
できたのは、武道をやった得た大きなメリットの一つである。

同時に、自分には限界がないことも知ることができた。というと、こ
こまで述べてきたことと矛盾するように思われるかもしれない。しか
し、違うのだ。他人と比較しての限界は間違いなく存在するけれども、
他人とではなく過去の自分と比べて考えるなら限界はたぶんない、と
いうことである。なんとめでたい奴かと思わず、もう少しお付き合い
いただきたい。

うちの塾長がよく言われる例えに、空手の技術と自動車の運転は似て
いるという話しがある。自動車の運転は左右の手足をバラバラに動か
しながら、しかも前後左右にまで神経を行き渡らせていなければ安全
は確保できない。かなり複雑な動作なのだが、一度運転を覚えた人が
これを忘れることはない。空手の技術もこれと同じだと。

つまり一度、しっかりと基本を体にたたき込んでしまえば、それを忘
れることはまずない。もちろん老化はある。これだけは誰にも避ける
ことはできない。しかし、体の正しい使い方をマスターすることで、
老化のスピードはコントロール可能だ。たとえ週に2回の稽古だけで
も、しっかりと呼吸をし、きちんと全力で体を動かしていれば、体の
衰えは相当にカバーできる。

そして、単純な基本稽古の突き一つをとってみても、それを真剣に繰
り返していれば、重ねた稽古の数だけ確実に進歩する。本当である。
40歳で空手を始めたときよりも、たしかに筋力は衰えているのだろ
うけれど、突きのフォームはより無駄がないものとなっている。その
結果、昔とくらべればより「効かすことのできる」突きを出せるよう
になっている(と思う)。自分の突きの限界を一つ、いつの間にかク
リアしているのだ。

こうした限界突破は、もちろん突きだけに限った話ではない。実際に
相手と突きや蹴りを当て合う組手においても、場数を踏む分だけたぶ
ん進化している。そして、空手の上達はいつも非連続的なのだ。

たとえば回し蹴りである。左利きであるために、どうしても右の回し
蹴りがスムーズに蹴れていない感覚がずっとあった。その「うまく蹴
れていない」感覚が今年の初めのいつかから消えている。実際にミッ
トを蹴ったときの感覚も明らかに違う。問題意識を持って稽古を重ね
ることで、いつの間にか自分の限界を超えることができたのだと思う。

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