誰かがやる、はもう終わりにしよう ―フォロワーシップの時代 ―

2025.10.22

組織・人材

誰かがやる、はもう終わりにしよう ―フォロワーシップの時代 ―

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

「最近の若手は覇気がない」 「上司に言っても変わらない」 「どうせ頑張っても報われない」 今、日本の多くの職場で聞かれる言葉だ。 だが、これは個人の問題ではない。 時代の構造が変わったのに、組織の在り方が変わっていない── その歪みが現場の無気力を生んでいる。 経営環境は激変し、誰もが正解を持たない時代。 にもかかわらず、多くの会社はいまだに「上司が決め、部下が従う」という旧来の構造にしがみついている。

  1. 曖昧性の壁
     伝えたつもりで終わる人から、伝わるまで伝える人へ。
     “理解してもらう努力”が信頼の出発点になる。
  2. 関係性の壁
     利害で動く関係から、支え合う関係へ。
     困っている仲間を「自分ごと」として助けられるかが鍵。
  3. 存在の壁
     不平・不満を放つ側から、エネルギーを供給する側へ。
     自分の感情とチームの空気がつながっていることを理解する。

これらを超えた先に、初めてフォロワーは“チームを動かす存在”になる。

■ 「支える力」を育てる3つの実践

フォロワーシップを育てる現場のステップはこうだ。

Step1:目的の共有(チーム意識)

「何をするか」ではなく「なぜそれをするのか」を全員で語る。

この対話が、やらされ感を共創感へ変える。

Step2:信頼の形成(安全な場)

失敗や弱音を話せる空気をつくる。

本音で語り合えないチームに、能動性は生まれない。

Step3:貢献の自覚(当事者意識)

「このチームを良くするのは自分だ」と思えた瞬間、

人はフォロワーではなく“仲間”になる。

■ 誰かがやる、ではなく、俺が私がやる

フォロワーシップの時代とは、

「誰かがやってくれる」ではなく、「俺がやる」「私が動く」と言える人が増える時代だ。

それは、上司でも部下でもなく、“人間としての成熟”の証。

指示されずとも動く。

責任を押しつけ合わず、分かち合う。

立場ではなく、在り方で人を動かす。

フォロワーシップが根づいた組織には、静かな熱がある。

そこではリーダーも部下もなく、

「このチームを良くしたい」という同じ炎が燃えている。

■ 結び ― 支える人が、未来を変える

この国は今、リーダー不足ではない。

フォロワーの覚醒不足だ。

本当にチームを動かすのは、

命令ではなく、支える力。

孤独なリーダーを救うのも、

次の時代を創るのも、

実は“フォロワーの一歩”である。

JTBAは、その一歩を体系化した。

3つの壁を越え、8つの要素を育み、

誰もが自分の中のリーダーシップを発揮できるように。

「支えること」が最高のリーダーシップである。

その文化が根づくとき、

組織も、社会も、もう一度、希望を取り戻す。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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