通信販売”AIDSA”の法則

2008.04.18

仕事術

通信販売”AIDSA”の法則

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

消費者の購買行動に関する態度変容モデル(商品の認知から購買まで)は”AIDMA(アイドマ)”が有名だが、通信販売においては昨今少し変わってきたようだ。

INSIGHT NOWのビジョナリーの一人である松尾 順氏の記事「テレビ通販も厳しくなってきた?」に関連して少し表題の件を記したい。

記事では昨今の消費者は<テレビ通販を見て即座に発注をするのではなく、ネット通販の価格動向も見ながら、最安値を狙うユーザーが増えてきている>と日経新聞4月15日の内容を紹介している。

そこから松尾氏は消費者の行動を、テレビ通販を例に挙げて、今までは<どちらかといえば受動的><説明を聞いて納得したら迷わず注文していた>というスタイルから、<最近は、他に安く買えるところはないかを十分調べた上で、能動的に購入先を選別・決定するようになっている>として、それを<ネットを縦横に使いこなせる今の消費者にとってごく自然な行動>と看破している。

テレビ通販だけでなく、ネット販売、いわゆるECは注目され始めた頃に、消費者の購買行動が従来のAIDMAからMが抜けてAIDAになったとよく言われていた。
AIDMAとは消費者が以下の4つのステップを踏んで購買行動を起こすというものだ。
Attention (注意)→Interest (関心)→Desire (欲求)→Memory (記憶)→Action (行動)。
そして、その4段階を次に次に進めるために、消費者の背中を押す施策が必要であるとするものである。
ここでM、つまりMemoryとは「欲しい(Desire)」と思っても、多くの人は一旦記憶に留め、「では、次の給料日に」とか、「ボーナスが出たら」とか、購買機会を待つので記憶に留めさせるという段階を表わしている。

しかし、ECではAttentionからActionまでが極めて短時間に集約されるので、Memoryしている間はなく、従ってAIDAとなると言う考え方だ。松尾氏の分析した、従来のテレビ通販も同じである。

同氏の分析した<他に安く買えるところはないかを十分調べた上で、能動的に購入先を選別・決定>という購買行動はAIDAのActionの前にSearchという段階が入っていることを表わしている。故に、今回のタイトルであるAIDSAと、AIDMAモデルを少し変形させてみたのだ。

インターネット時代の購買態度変容モデルとしては、2005年6月に電通がAISASモデルを商標登録している。
AISASとはAttention(注目)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)。最後のShare(共有)は、購買した商品に対する自分の評価をBlogやSNS、掲示板などで情報公開するという行動を表わしており、個人の情報発信力が高まった時代ならではのモデルである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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