顧客に対して、どのような価値を与えていますか?顧客価値は次の4つの視点で考察しました。
提案する相手によってどの価値が響くかが異なるため、誰に提案するのかを見極め、その人にとって意味のあるアプローチを選ばなければなりません。
相手が個人、あるいは法人でも現場担当者への提案であれば、「現実的価値」が最も重視されます。この場合に営業職に求められる資質は、誠実さ、マメさ、親切さ、良い人かどうかというパーソナリティ面です。コモディティ商品などのどこから買っても変わらない商品であれば、「この営業さんが好きだから」といった理由で選ばれることもあり、営業担当の人柄がポイントになります。
法人の管理職クラスへの提案では、「政治的価値」の視点が重要になります。求められる資質は、プロフェッショナルな能力、人脈です。この価値が高ければ、たとえ人柄が好かれていなかったとしても、「この人でなければプロジェクトを任せられない」「この提案なら任せたい」という判断が下されることになります。
経営者や経営幹部に対しては、「戦略的価値」の視点での提案が求められます。特にオーナー経営者のように個人と法人が重なる相手に対しては、パーソナリティとプロフェッショナルな能力の両方の資質が必要になります。経営に役立つ提案をすることはもちろん、提案する営業担当社自身が役に立つ人間であり、個人としても好感が持てなければ、提案する商品やサービスを購入してもらえません。
4.絶対的価値/相対的価値
「絶対的価値」とは、他では代替できない唯一の価値を言います。例えば、「お孫さんの声」や「お母さんの作ったカレー」など、比べることに意味がない特別な価値です。
「相対的価値」とは、他との違いによって評価される価値です。「並・上・特上」や「箱根か熱海か」のように、複数の選択肢を並べて比較した結果、他との違いによって決まる価値のことです。
自社の商品やサービスがどちらの価値を持っているかによって、提供の仕方や伝え方を変える必要があります。
顧客価値にはさまざまな側面があります。だからこそ、顧客にとって意味のある価値をどう届けるかを考えなければなりません。
「自分たちは、誰に、どのような価値を届けているのか」
この問いに向き合うことが、顧客との信頼関係を築き、選ばれるための原点となります。自社の商品やサービスについて、ここで紹介した顧客価値の4つの視点から改めて見直してみてください。
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2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
