デジタル時代にSTPは古いのか?・「リーン・スタートアップ」の本質

画像: Franklin Heijnen

現代マーケティングの大家、フィリップ・コトラーが提唱した「STP理論」。すなわち、市場の顧客候補を「同質のニーズ」で括って細分化する=セグメンテーション→その中から、最も魅力的な顧客候補群を抽出するターゲティング。そのターゲットに自社の価値・魅力を示して、競合と差別化を図るポジショニング・・・である。  それが、近頃「もう古い」と言われ始めているのを耳にすることが多くなってきた。果たして本当にそうなのだろうか?

➁計測=試作品(MPV)に対して顧客候補(特に初期はアーリーアダプター層=高感度層:○項にて詳説)からどのような反応が得られるかを観察・計測する。

③学習=観察・計測の結果をもとに、MVPを改善していく。特に前記初期高感度層(アーリーアダプター)の反応が思わしくない場合、最初に立てた仮説そのものを見直して方向性を変更し、製品・サービスの改良をしていく。

④再構築=うまくいかない場合はできるだけ早い段階で構築からやり直す。そうして「顧客と、その顧客にとっての価値」を見極められるようになるまで、市場の反応を観察・計測しながら「①構築→➁計測→③学習→④再構築」を繰り返していく。

●STPはもう古い?

「リーン・スタートアップの時代」になったので、ガチガチにターゲットや、そのターゲットが感じる価値・魅力を固めてから製品開発を行う「STP理論」はもう古いという論調をしばしば耳にするようになった。

しかし、それは「リーン・スタートアップ」も「STP理論」も、どちらの本質も理解していない妄言であると言えよう。

そもそも、マーケティングの実務上の最大のポイントは、10・11項で述べた「戻って考え直す」である。

また、「マーケティングは流れで読み解く」であるが、その「全体像」の心臓部はSTPであると述べた。そこはリーン・スタートアップにおける「①構築」段階でも考える部分であるはずだ。

当てずっぽうに顧客とそれに対する価値の仮説を立て、ざっくりサービスを開発し、例えばWeb上にアップしたとしても、「誰が・どんな価値や魅力」を感じて来訪し、使って見てくれるというのか。それでは観察。計測もできない。

また、観察・計測の結果、「反応のよかった顧客候補」が、どんな人々なのかという結論を出すには、何らかの共通項を見いだす視点がいる。それのは「セグメンテーション」の正しい認識、「セグメンテーションはニーズで括る」を知っていなければ、「反応のよいのは20代女性!」などという結論を出してしまう。

「いやいや、最近はAIが判断してくれるから」という意見もあるだろう。確かに、数多くの反応があり、膨大なデータから共通項を見つける「作業」はやってくれるだろう。しかし、AIに初期のインプット、「学習」させるのは誰か。

そもそも、リーン・スタートアップの「「設計→開発→テスト→改善」というサイクルは、「①戦略立案(STP)→➁製品(少量生産の試作品)開発→③グループインタビューでの評価収集、あるいはテスト販売データ収集→④結果分析と検証結果から「戻って考え直す」・・・と、リーン・スタートアップなどという言葉が登場する前から、マーケティングの現場では粛々と行なわれてきたことである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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