戦時対応ができないリーダー  リモート推進を対面で直訴してしまう菅首相世代

2021.08.26

組織・人材

戦時対応ができないリーダー  リモート推進を対面で直訴してしまう菅首相世代

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

オリンピック、パラリンピック決行の一方、コロナの爆発的蔓延は止まらず、政府への対策責任を問う声や批判は止みません。横浜市長選挙はいつのまにか自民系候補=菅首相というイメージが進み、結局野党系市長当選となりました。

ワクチン接種が進んではいるものの、いまだ収まる気配のないコロナ蔓延に対して政府がテレワークを推奨しても、「国民の緩み」「自粛慣れ」により、いつのまにかラッシュ通勤も元に戻っているようです。国民の緩み?緩んでるのはIOCレセプションやら政治資金パーティやってる、政治家でしょ。

それはともかく、菅首相は国民一人一人への訴えではなく、企業の大本である財界・経済同友会と日商に自ら乗り込み、代表幹事や会頭に直談判でリモートワーク推進を訴えました。リモートワークは個人が趣味で行うものではなく、あくまで勤務先企業の指揮命令下で行うものですから、国民へ呼びかけるのは完全な間違いです。ゆえに今回、財界=経営層への呼びかけたのは、数少ないまともな働きかけといえます。

しかしなぜ菅首相はリモートによるオンライン会談ではなく直談判で乗り込んだのでしょうか?

・「リモートじゃわからない、通じない」モノ
高田馬場駅近くにあるスーパーは、店員さん自ら威勢の良いかけ声をかけ、今朝入荷の魚や野菜、本日の目玉商品をマイクでガンガン煽ってくれます。インカムではなくハンドマイクで店内を歩きながら来店客に声をかけ、店全体の勢いが生まれるようです。お客様への声かけはそのスーパーのモットーとのことで、ホームページでもSpritとして紹介されています。

コロナでダメージを一身に負う飲食店。ある居酒屋は昼から定食や弁当を始め、値頃でおいしいと評判です。店内に入れば威勢のよいかけ声で「いらっしゃいませ!」と店員さんが迎え、帰りは「ありがとうございます!」と再び大声で送り出してくれます。

勤務先の大学の印刷を請け負っている会社。コロナ前から印刷不況ということで、わざわざ営業部長さん自らアポなし訪問でご挨拶に回っています。

一方、ある100円ショップはコロナ蔓延と同時に接客の声かけをやめ、レジにいち早く防御シールドも張り出しました。しかし「一部のお客さんからの苦情」があったということで、挨拶も最低限行うことになったようです。
お客様への声かけ促進スーパーのそばには外資系スーパーがあり、その店は最低限の人員で常に運営されていることから、セルフレジは当然、そもそも声をかける店員さんがまず見当たりません。
飲食店も、不織布マスクではなくウレタンマスクや、ひどい店は防御効果無しといわれるマウスシールドで未だに接客し、大声で「いらっしゃいませ!」をやっています。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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