ミッキーマウスとハロウィン

2020.10.30

開発秘話

ミッキーマウスとハロウィン

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/アメリカの中でも、ハロウィンは、もともとかなり特殊な文化に発している。すなわち、キリスト教の彼岸観に、アイルランド的ドルイド教と黒人奴隷的ブードゥ教がくっついたもの。これは、内陸中西部でこそ生まれたものであり、まさにそこにウォルト・ディズニーと彼の仲間である「ドモレイ」たちは育った。/

このブードゥ教は、ディズニー家の出身地であるアイルランドのドルイド教の精霊的世界観と、同根であったのではないかと見まがうくらい似ている。実際、ジャガイモ飢饉で食い詰めてアメリカにやってきた内陸中西部の貧農アイルランド人の信仰と、西アフリカからカリブ海経由でやってきた黒人奴隷の信仰とが、ここで融合する。

ジャック・オ・ランタンも、もともとはアイルランドの煉獄(地獄の手前)をさまよう男ウィルのカブのランタンの話だが、これは、ブードゥ教のゲーデと呼ばれる死神の話と一体化しており、あのカボチャの頭は、まさにブードゥ教の儀式で用いられるもので、生者と死者の間を仲介する。そして、ゲーデは、ブギーマンとして、もともとまさにハロウィンを担当する精霊なのだ。

話をまとめると、アメリカの中でも、ハロウィンは、もともとかなり特殊な文化に発している。すなわち、キリスト教の彼岸観に、アイルランド的ドルイド教と黒人奴隷的ブードゥ教がくっついたもの。これは、内陸中西部でこそ生まれたものであり、まさにそこにウォルト・ディズニーと彼の仲間である「ドモレイ」たちは育った。

しかし、彼らは、自分たちのその文化が特殊であることを知らなかった。そして、アニメや遊園地で、これを全米に、そして全世界に広めることになった。それは、「ドモレイ」たちの郷愁であり、子供たちが近所の大人たちとふれ合う、古き良きアメリカの、小さなコミュニティを象徴する祭りだ。


『悪魔は涙を流さない カトリックマフィアVSフリーメイソン: 洗礼者聖ヨハネの知恵とナポレオンの財宝を組み込んだ パーマネントトラヴェラーファンド「英雄」運用報告書』

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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