ハードルは高くして跳べ

2008.03.14

ライフ・ソーシャル

ハードルは高くして跳べ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

顧客満足度調査のアンケートシートを前にしたとき、あなたはアベレージでいくつを付けるだろうか。そして、どんなときに「非常に満足」の5を付けるだろうか。

独立して、現在、仕事の三分の一は講師業をしている。講演や企業・ビジネススクールで研修を行い、大学で授業をする。昨今はその一つ一つで講師は受講者から評価を受ける。

独立する以前から、講演活動は時々やっており、そこでの受講満足度アンケートを見ると、そこそこ4や5がついているのを見るとうれしく思った。
しかし、大勢のオーディエンスを前に、主に一方的に話す講演と異なり、インタラクティブな要素が多く、個々の受講生の顔や動き、発言に注目することができる研修では、受講生からの満足度の意味が異なるように感じるようになったのだ。
受講生には学びを最大化して欲しい。それ故に、一つでもわからないことを無くしたいと考える。だとすると、5ではなく4や3を付けるということは、学びに対して「不満足」というよりは「不十分」な部分があったというメッセージだと理解するべきだと考えたのだ。つまり、自らの受け取るべき得点のアベレージを3ではなく、5とセットし直したのである。

先の役員の言葉「求めても中々手に入らないからこそ、最高点は意義があるのだ」ではなく、米国式の<「素晴らしい(Excellent)」以外は「問題あり」のバッドスコア>という認識の方が実は遙かにハードルは高まる。しかし、認識を変えハードルを自ら上げることによって緊張感も高まる。受講者の一挙手一投足も見逃せない。自分の発言にも最大限の留意をするという、動き方も変わってくるのだ。
満足度のアベレージが5の「素晴らしい(Excellent)」とは、付ける側は甘く、付けられる側は奢りと思ってしまいがちだが、遙かに緊張感のある関係なのである。

さて、今日もこれから企業研修だ。取れればラッキーの5ではなく、当たり前な5となるべく、研鑽を積もうと考えている。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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