サードプレイスをつくり、自分自身を取り戻す

2020.02.21

組織・人材

サードプレイスをつくり、自分自身を取り戻す

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

昔は先輩たちが、仕事が終わるといろいろな店に連れていってくれ、社内外の人を紹介してくれ、若手ビジネスマンの人脈が広がっていった。いまのビジネスパーソンにはそうした場はあるのだろうか。家でも職場でもない、ビジネスパーソンの第3の場とは。

これだけ日本の経済が沈滞し、会社の中に、ロールモデルとなるような先輩を描きづらい世の中になれば、現役のビジネスパーソンは、1日も早く、成長と機会の場を会社ではない場所をつくる必要があるだろう。

そういう意味では、昔は先輩たちが、仕事が終わるといろいろな店に連れていってくれ、社内外の人を紹介してくれ、若手ビジネスマンの人脈が広がっていった。そういう先輩にあこがれたものだ。

しかし、残念ながらそうした機会は激減している。先輩たちも同じように、ロールモデルを見失っている。

理想的なコミュニティは可能か

これまでも、組織や会社の枠を超えて、様々な人たちが交流し、ひとつのコミュニティをつくっていこうとするものはたくさんあったし、今でもいろいろなコミュニティが運営されている。

しかし、「なんとか交流会」や「なんとか倶楽部」的なものは、新参者として参加し、定着するまでには、かなりの努力と投資が必要となるのが大半ではないか。私の経験上、こうしたコミュニティに参加するには、相当な覚悟と意欲と時間を必要とされ、ほぼ、途中で挫折してしまう。あるいは、そのなかの主のような人が面倒になり、行きたくなくなってしまう。

その参加障壁の高さが何よりの問題だった気がする。今回提唱されている、サードプレイスのポイントは、参加障壁の低さではないかと思う。そうなると運営サイドのスキルによるのだが、ゆるい中にも会員的な特別感があり、かつ気軽さやフレンドリーさを味わえるという、2つの側面を併せ持つような場であれば、参加したいと考える人は想像以上に多いと思う。

昼間働く人たちにとっては、こうした3番目の場所は、当然夜ということになる。自分の所属する会社での仕事が終わって、今度は自分のスキルを別な方面から磨くことや、将来の仕事に役立つビジネスのネタを育てるためのチャンスを求める。

また、ベテランビジネスパーソンにとっては、今一度自分を通り戻すことのできる場にもなるだろう。

これまでのセレブ的な意味合いでの倶楽部や会員制の店などではなく、ふつうのビジネスマンがふつうに参加できる「ゆるいけど真剣」な場は、しっかりした仕事観を持つ優秀な若手にとっては、むしろ必要な場であることは間違いない。

やる気にあふれる人は、自分の行きつけのお店で仕掛けてみてもいいだろう。顔を知っている客に軽く声をかけてみる、何人か集めてゆるい会をひらく、曜日と時間を決めて、来られる人は来る的なことを設定する。少しずつできることから始めることはできるはずだ。

会社が将来をつくる時代はすでに終わっている。自分の将来は自分で決めるためにも、新たな場づくりは、必要不可欠なのではないかと思う。

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