水産物取扱量は想定の5割と低迷 ── 開場から1年。苦境に立つ豊洲市場

2019.11.20

経営・マネジメント

水産物取扱量は想定の5割と低迷 ── 開場から1年。苦境に立つ豊洲市場

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東京都が約5700億円かけて整備した中央卸売市場「豊洲市場(江東区)」が開場して、早くも1年余りが過ぎた。 昨年(2018年)10月の開場当初は、施設の使い勝手を懸念する声も多かったが、初めて迎えた今年の夏場は、移転前の築地にはなかった空調管理システムが威力を発揮。連日の猛暑を無事に乗り切り、今秋10月に開場1周年を記念するイベントが盛大に開催された。 ただ、光熱費や設備費などの運営コストがかさむ中、市場の水産物取扱量は都の想定を大きく下回る状況が続いており、今後の運営に向けてシビアな課題も浮上してきている。

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万全の空調管理で魚の鮮度も労働環境もアップ

かつての築地市場(東京都中央区)は、外気に面した開放型の施設で、もちろん室温をコントロールする空調設備もなかった。そのため、夏場になると場内で働く人たちは30度を超える暑さの中、魚に大量の氷水をかけながら、汗だくになって作業をしていたという。

一方、豊洲市場は外気を遮断した閉鎖型の施設となっており、鮮魚を扱う水産仲卸売場棟は空調管理システムで19~25度に保たれている。そのおかげで、うだるような猛暑日でも施設内はひんやり涼しく、魚の鮮度保持に使う氷代も築地時代より4割近く減ったという。
仲卸業者の間では「豊洲に来てから、魚の鮮度がより保ちやすくなった」「汗まみれで働いていた築地と比べると、豊洲の環境は段違いに快適」と喜ぶ声も聞かれる。

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築地時代と比べて運営費は2倍、都の予算は4倍に

とはいえ、500件近い業者の店舗が入る水産仲卸売場棟は、広さが約4万平方メートルに及び、場所によっては温度が25度以上になることもある。
とくに、外気が入りやすい積荷場周辺は、施設の中央付近と比べて温度が高くなりやすく、組合側から「店舗の場所によって温度差が出ている。鮮度を左右する温度に違いがあるのは不公平」との意見も出ていた。これを受けて都は今年7月、積荷場付近に約140台のエアコンを追加で設置し、夏場の温度差対策に万全を期した。

ただ、空調設備を充実させたことに伴い、業者が支払う施設使用料は築地時代より70円(1平方メートルあたり)ほど上昇。エアコンや換気などにかかる光熱費もかさみ、豊洲市場の運営費は築地の2倍以上に跳ね上がっているという。

また、都が計上する市場の維持管理費も大きく膨らんでいる。築地では年間18億円程度だったが、空調などの設備費がかさむ豊洲の今年度予算は、その4倍となる72億円を計上。減価償却費を含めると、年間の赤字は約95億円に上ると試算されている。

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市場規模は拡大したものの取扱量は築地に及ばず

もちろん、築地にはなかった最新設備を導入することで、生鮮品の品質や市場ブランドがより向上し、働く人たちにとっても快適な環境が整ったことは大いに評価できる。そのための投資や維持管理に多大なコストがかかるという点は、都や市場関係者も十分承知しているだろう。

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