共通言語の強み

2019.08.21

経営・マネジメント

共通言語の強み

野町 直弘
調達購買コンサルタント

企業によっては「共通言語」を定義して同じ言葉を同じ意味で使うようにしています。最初はその企業だけの「共通言語」として使われた言葉が、多くの企業の「共通言語」として普及し、海外でも日本語のまま使われる、その代表的な企業がトヨタでしょう。今回は皆さんがご存知の古くから使われているトヨタ用語から、最近使われるようになったトヨタ用語まで、私の知っている範囲で紹介していきます。

ここまでは皆さん「聞いたこと」はあるでしょう。いずれもトヨタ発の共通言語として海外でもそのまま使われている言葉です。

さて、ここからはちょっと新しい言葉になります。皆さんはご存知でしょうか。

四位一体(ヨンミイッタイ)
仕入先と調達(部品・ユニットの調達を担当する部門)・生産技術(生産技術を担当する部門)・技術(研究・開発を担当する部門)の各部門が四位一体の活動により、より作りやすく、よりシンプルな、部品・ユニットの構造を実現する。これにより、シンプルでコンパクトな製造工程づくりができ、より高い品質を確保する「ものづくり改革活動」。

(技術の)棚入れ(タナイレ)
トヨタ自動車が新車開発に必要な新技術の提案を内外の部品メーカーから募るために創設した制度の名称。部品メーカーからの新技術情報のデータベースを「棚」と呼び、部品メーカーが売り込みたいアイデアや生産技術などを文書で提出すると、社内のコンピューターネット内に設けたデータベースである“棚”に入力し、保管される。開発や購買の担当者は必要な時に棚を開いて閲覧し、実用化されれば、部品メーカーは新規の部品受注などにつながる。

ポケテナシ(ポケテナシ)
安全性向上のための歩行安全のための標語。ポケットに手を入れない、歩きながら携帯電話を使わない、階段の手すりを握る、斜め横断しない、指差し確認をする――の頭文字を取った標語。単に「安全第一」と呼びかけるのではなく、具体的な行動に落とし込むことで、安全性を高めている。

BR(Business Reform)組織(ビーアールソシキ)
経験豊かな人材を時限的に重点配置し、将来につながる業務改革と人材の有効活用を図る仕組みとして、既存の2割の要員をBR組織に配置し、残り8割の人員で既存業務に対応する。BR組織には経験豊かな人材を時限的に重点配置し、将来につながる業務改革と人材の有効活用を図る仕組みとして定着している。現在はグループ企業含む多くの会社に展開される。

皆さんは知っていましたか。いずれにしても会社内に留まらず多くの企業に共通言語として広まっている、ことは凄いことです。

以前にも記事に書いたことがありますが、私が以前勤務した経験がある米GE(ゼネラル・エレクトリック)社にも同様のことが言えます。

6シグマ、DOMAIC、DOMADV、CTQ、VOC、カスタマーセントリック、ワークアウト、バウンダリレス、インテグリティ等々。(それぞれの意味は自分で調べてください)

特にGEで感心したのは6シグマ手法は全世界全ビジネスの共通言語になっていることです。また共通言語だけでなく仕事やプロジェクトの進め方も共有されています。

何か業務改革を進める時には必ず同じ手順でプロジェクトを立上げ、決められた手順でプロジェクトを推進し、レビューを行い、再度改革を進めていくのです。そういう点で共通言語は言語以上のスキルノウハウの共有や意識改革にまでつながるものと言えます。

筆者後記:文中のトヨタ用語の説明はインターネットに掲載されているトヨタ用語集を元に編集を加えました。各企業で使われている定義と異なる場合もありますがご容赦ください。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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