ゴーン氏の功罪

画像: Bastian Greshake Tzovaras

2018.12.05

経営・マネジメント

ゴーン氏の功罪

野町 直弘
調達購買コンサルタント

11/19日の夜、ショッキングなニュースが日本中を駆け巡りました。 「ゴーン氏逮捕」それでもゴーン氏は日本企業が見習うべき経営改革を実現してきました。特に調達購買改革はその後の日本企業の改革のお手本になるようなものでした。

またゴーン氏のやり方でもう一つ特筆すべきなのは、会社経営にインパクトを持つ機能を改めて重視した、ということが上げられます。ゴーン氏の著書「ルネサンス」の中で「日産は購買部門の地位が低く、成果を上げても偉くなれなかった、それを引き上げることが重要な経営課題であることが分かった」という記述があります。自動車は外部支出の比率が高い産業です。サプライヤのコスト競争力がなければ製品の競争力もなくなります。ですからゴーン氏がやったことは極めて真っ当なことです。

日本の自動車業界の通説(伝説)として、重要であるにも関わらず購買部門と同じように社内での地位が低い機能があります。それはデザイン部門です。車が売れるかどうかは、デザインがいいかどうかなので何故と思われる方もいらっしゃるでしょうが、自動車メーカーのエンジニアには一種のヒエラルヒーがあり、優秀なエンジニアはエンジン部門に行きたがります。ので多くの場合偉くなるエンジニアはエンジン開発出身者です。しかしゴーン氏はいすゞ自動車からチーフデザイナーであったNさんを日産自動車にひっぱり、彼を常務執行役員CCO(チーフクリエイティブオフィサー)として厚遇しました。

多くの企業の調達購買部門の社内的な地位が低いと言われ続けている状況を見ていると、ゴーン氏と日産自動車は日本企業の購買部門改革の象徴としてとらえられます。
ゴーン氏は購買部門の社内での地位向上をうたいましたが、実際に日産自動車の元共同会長の小枝さんや現社長の西川さんも購買部門出身です。ゴーン氏がおっしゃっていることを実現させていることがわかりますね。一方で、今回の逮捕劇で西川社長が注目されていることがとても皮肉に感じられます。これから功罪の罪が暴かれるでしょうが何と言っても希代稀な経営者であり、日産を経営危機から救ったことは間違いありません。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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