日本で加速する「キャッシュレス社会」の光と影《Part.2》

2018.11.14

ライフ・ソーシャル

日本で加速する「キャッシュレス社会」の光と影《Part.2》

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南青山リーダーズ株式会社

ここ数年、流通系や交通系の電子マネーが急速に普及したことで、現金を使わない「キャッシュレス化」が急速に進んだ日本。 さらに、去る10月15日、安倍首相が2019年10月から消費税を現行8%から10%に引き上げる方針を表明したことで、キャッシュレスに関する議論が一段とかまびすしいものになった。

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とくに、少子化・人口減や人手不足などの諸問題に直面する日本では、現金決済によって生じる社会的・経済的な損失は大きい。たとえば……

●現金決済は人手や手間がかかる
⇒ 人手不足が解消しない。従業員の数や労働時間が増えて人件費がかさむ。
⇒ 無人コンビニや無人車両サービスなど、新たなイノベーションが生まれにくい。
●現金決済は消費者とつながりにくい
⇒ 消費者のビッグデータが活用できず、市場のニーズや需要に対応しにくくなる。
⇒ 消費者がポイント還元などのメリットを享受できない。
●現金決済は商機を逃す
⇒ 近年増えている訪日外国人の決済に対応できず、インバウンド収入のチャンスを逃す。
⇒ 現金払いの手間やレジ待ちの時間を嫌って来店客が減る。
●現金決済には莫大なコストがかかる
⇒ 現金決済の維持や業務にかかるコストが、社会経済の成長や企業経営を圧迫する。
⇒ そのコストが商品やサービスに転嫁され、最終的に消費者が負担することになる。

……など、事業者や消費者にとっても、社会経済全体から見ても、多大なデメリットが現に生じつつある。言い換えれば、これからの日本は「現金決済からの脱却」こそが、社会問題の解決や経済低迷から脱出するための重要な切り札となるのだ。

政府もキャッシュレス推進に向けて本格始動

こうした状況に策を講じるべく、国も動き始めている。
経済産業省では今年(2018年)4月、国内のキャッシュレス推進を支援する「キャッシュレスビジョン」を策定し、将来的にキャッシュレス決済比率80%を目指す「支払い方改革宣言」を発表。まずは、2020年までに主要商業施設や観光スポットなどにおける「クレジットカード・電子マネー決済対応化100%」の目標を掲げ、インバウンド増加が見込まれる東京五輪までの普及に弾みをつける狙いだ。

また、政府は2019年10月からの消費税率の引き上げに合わせ、景気対策として店舗などでキャッシュレス決済をした消費者に対して、増税分の2%程度をポイント還元する施策も検討しているという。これについては、
「高齢者の多い地方の小売店で少額購入した際、カード払いは現実的か……?」
「ITリテラシーの問題やセキュリティへの不安は払拭できるのか……?」
「現金商売の小売店に負荷をかけることにならないか……?」
「あまたある電子マネー、クレジットカードがキャッシュレス化の足かせになっている今、全国共通、誰もが使いやすい決済方法を国主導で実現しえないものか……?」
といった様々な議論が噴出している。

次のページ政府や各業界が普及に期待を寄せる「QRコード決済」

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