ストロー廃止で何が変わる?マイクロプラスチックごみが警告する海洋問題(後編)

2018.10.12

ライフ・ソーシャル

ストロー廃止で何が変わる?マイクロプラスチックごみが警告する海洋問題(後編)

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南青山リーダーズ株式会社

「ストロー廃止で何が変わる? マイクロプラスチックごみが警告する海洋問題」として前編・中編でお送りしてきたわずか数カ月の間に、この問題は刻々と変化を見せています。

日本のプラゴミは、業者が回収し海外へ輸出?

近年、日本では各家庭における資源ごみの分別回収が定着しています。ペットボトル、食品用のプラスチックトレーなどは軽くゆすいで資源ごみに出し、スーパーなどの回収ボックスへ持ち込む人も多いはず。そのため、家庭から排出されたプラごみは国内でリサイクルされていますが、問題は飲食店やオフィスから発生するプラごみでした。家庭以外での分別回収は徹底されていないため、業者が回収し海外に輸出していたのです。

中国のプラごみ輸入禁止を受け、日本はベトナムやタイなど、資源として需要があるところに輸出先を求めていますが、東南アジアのリサイクルマーケットの規模にも限界があります。将来的には中国同様に輸入禁止の方針を打ち出す可能性がないとは言えません。自国のごみは自国で処理すべきであり、その対策に知恵を絞るときが確実に近づいているのです。

世界的なごみ削減を握るインド

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圧倒的なごみの量を持つ中国から、今後、注目すべき国はインドになると言われています。インドの人口は2014年には12.6億人でしたが、2017年では13.1億人。中国の2017年の人口が13.9億人ですから、インドが中国を越して、世界一の人口になるのもそう遠くありません。人口の多さは悲惨なごみ問題に直結しています。

インドの母なる川ガンジスは、人々が沐浴をする聖なる川としてあがめられていますが、同時に、遺体が浮き、生活排水が流れ込んでいます。そのため、大腸菌などのさまざまな病原菌が水に溶け込み、水質は最悪。さらに、レジ袋に入れられたおびただしい量の生ごみやプラごみが川にあふれ、流れを堰(せ)き止めているところも。
それもそのはず、ガンジス川の上流にある首都ニューデリーでは、ガンジス川がゴミ捨て場と化していました。毎年880万トンものプラごみが海に流れ込み、そのうち60%がインドから廃棄されたものだと言われる理由がここにあったのです。

プラスチックは「人類に対する脅威」

インドのモディ首相は、2018年6月5日の世界環境デーにおいて、『プラスチックは「人類に対する脅威」』だと訴え、インド政府は2022年までに使い捨てプラスチックを全廃すると宣言します。
その後、インドの29州のうちの25州で使い捨てプラスチックの使用を禁止する州法が施行されました。大都市ムンバイのあるマハラシュトラ州でも、レジ袋やストロー、持ち帰り用のプラ容器などが一切使えなくなったのです。準備期間があったとはいえ、街は大混乱に陥りました。水がなければ花が枯れてしまうのに、レジ袋を使えない花屋。カレーの持ち帰りにレジ袋もプラスチック容器も使えず、売り上げが落ち込むカレー店。野菜を入れる袋がないと嘆く青果店。

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