ナレッジワーカーの生産性はなぜ上がらないのか

画像: JIRCAS Library

2018.08.29

組織・人材

ナレッジワーカーの生産性はなぜ上がらないのか

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

肉体労働者の生産性は画期的に高まったと言われているが、現在の大半のビジネスマンである、ナレッジワーカーの生産性はどうなっているのだろう?

何かを変えたい、今の沈滞ムードを払拭したい、と願う経営者やマネージャーは多いはずだ。同じことを繰り返していたら「より良い成果」は望めないし、新たなことにチャレンジしなければ未来がないことは、少しでもビジネスに携わった人ならば、すぐに気がつくことだ。

しかし、実際のビジネスにおいては、まったくそのようにはなっていない。新しい企画が起案され新規プロジェクトとして立ち上がることはまれで、よしんば立ち上がったとしても、そのプロジェクトが予定通りに実行され、成果を上げることはほとんどないのが実情だろう。

新たな戦略やプロジェクトを完遂させるには、想像をはるかに超えた力が必要になるからだ。この「新たな」というのが、実は曲者で、組織には「新たな」何かを妨害しようとするマインドや古くからの習わしや規制といった魑魅魍魎がうじゃうじゃしている。皮肉なことに、画期的でこれまでになかったようなアイデアほど、阻止しようと動く力は強力になる傾向がある。

人はもともと安定を求める

組織と人は同じようで違う。組織としては、必ずイノベーションや変化が望まれる。組織として同じことばかり繰り返していても、成長がないどころか、衰退してしまうからだ。安定した収益を得続けるためには、常に改善し、新しいことをやり続ける必要があり、そうしないと市場で生き残ることはできない。

ところが、人は安定を求める。ほとんどの人が変化など望んでいない。つらいし、しんどいからだ。実は大半のビジネス・パーソンが同じことを繰り返して安定したいと願っている。

それでも、「このままではだめだ、変えなければならない」と考える主体性を持った人がまれにいる。「こういうコンセプトを持った商品(ソリューション)をつくりたい。このソリューションを販売するには、この販路がいいと思うから、この業界の販路さえ開拓できれば相当いけるはずだ」などと、大きなチャレンジをしようとする。

そうした案は総論では賛成される。組織にとって必要なことだからだ。しかし実際に行動に移されることはまずない。多くの場合、その業界のことなど誰も知らず、販路については想像すらつかない、といったことが起こる。あるいは、「でもこれまでの古いお客様はどうするんだ?」「〇〇が黙っちゃいないだろう」などという人たちが出現する。

「創業者精神とイノベーションマインドを持って」とは、多くの経営者が語る言葉だが、そんなことが本当にできていれば、何も問題はない。

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