ロジカルシンキングを越えて:5.仮説、論点をめぐる誤解

画像: ぱくたそ

2018.07.05

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:5.仮説、論点をめぐる誤解

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

しかし、コンサルティングビジネスというものを少し冷静に考えてみれば、これは嘘だということがわかります。

コンサルティングビジネスを考えたとき、大手ファーム間の競争の中でいかに競争優位を作り上げるのか?を考えた場合には、もはや「リクルーティングの時点で差別化する」以外に解はありません。

「やり方」で差別化しようとしても、離職率の高さから考えて、不可能です。教育ノウハウが確立されればされるほど、それは流出します。

では、なぜ、コンサルティングファームと事業会社の差があるように感じるのか?流出したはずのノウハウが事業会社で定着しないのか?

それは、ある程度のベースがあることを前提とした教育手法しかコンサルティングファーム内には存在しないのであり、それがいくら流出してもベースがない人間が身に着けるのは至難の業であるため、コンサルティングファームと事業会社のノウハウ格差はそれなりに存在し続けるということです。

情報さえあれば、情報を扱う技術は大手コンサルティングファームは高いのです。そこが大手ファームと事業会社の差別化の原点です。

余談ですが、最近では主だった米国の大企業は「コンサルティングファームからのヒアリング依頼」を受け付けません。

普通に考えれば当然ですが、ヒアリングされた情報はおそらく、競合他社や、新規参入を計画している他業界の企業の戦略立案に使われるわけです。競合の戦略立案に使われるかもしれないような情報を誰が好き好んで提供するのでしょう?

ちょっとひどい言い方をすれば、大手ファームのヒアリングは「産業スパイ」的な側面もないとは言えないわけです。むしろ、これまでヒアリングが公然と認められてきたことのほうが不思議だと言えるかもしれません。

日本でも、「個人情報保護」であったり、「秘密保持」であったり、コンプライアンスの流れは止めようがありません。いつの日か、大手企業は「外部会社からのヒアリングは受けない」時代も来るかもしれません。

そうなったらそうなったで、大手ファームは別の手段を考えるでしょうけどね。

ただ、これまでのように、知見がある方にヒアリングをお願いして、情報を取り、それを元データとして加工してバリューを出すというスタイルは過去のものとなるかもしれません。

最近の「会員制コンサルティング」というか、成功事例をシェアしましょうというコミュニティー型のコンサルティングビジネスというのは、この流れの延長上に必然的にあるもののように思います。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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