文化放送「The News Masters TOKYO」マスターズインタビュー。首都圏を中心に快進撃を続ける『串カツ 田中』社長・貫啓二さんへのインタビューの後編。 「串カツ」を選んだきっかけは、副社長となる田中さんが熱望したことと、偶然に見つかった田中さんの父親のレシピで串カツが美味しくできたこと。そして、世田谷の住宅街に一号店をオープンさせるにまで至った軌跡を語った。 今回は、企業理念や飲食業界と「串カツ田中」のこれからについて、The News Masters TOKYOのパーソナリティ・タケ小山が迫る。
(前編:『串カツ田中』は8割が住宅街。なぜ繁華街を選ばないのか?)
成長と『串カツ 田中』の企業理念
貫さんは『串カツ 田中』を始める前、BARやデザイナーズレストランを経営していた。
今でこそ、飲食店業界で台頭著しい経営者は何を考え、何を見ていたのだろうか。
タケ:
当時の経営を振り返ると?
貫:
本当に何も知らなかったです。数字の見方や、専門用語もアルバイトの人に教えてもらっていました。飲食も経営も素人、苦労するのが当然でしたね。今みたいにSNSもなかったので、情報交換もなかったです。
経営に関する知識はおろか、長期的な見通しもなかった。しかし、その時は必死で、その都度正しいと思ったことをやっていたという。
貫:
20年前、『串カツ 田中』をやっていたら、天狗になって5店舗くらいで終わっていたと思います。
貫さんは、『串カツ 田中』をやってから、客や従業員にも喜んでもらえるようにするには、と考えるようになったという。
一見、「『串カツ 田中』を育てた」「経営戦略が上手くなった」とも思われがちだが、本人としては「『串カツ 田中』に育ててもらった」というイメージが大きい。
そんな『串カツ 田中』の核となる考えはなんなのだろうか。タケが質問する。
タケ:
会社の理念は?
貫:
『串カツ田中』の串カツで、一人でも多くの笑顔を生むことにより、社会貢献する。これが企業理念です。これに嘘偽りない行動をしていると自信があります。
経営方針でも会社内のイベントでも、従業員とお客が笑顔になるか、すべてジャッジをしている。
仕事は、串カツ屋ではなく、串カツで笑顔を生んでいくことだという信念があるのだ。
経営で大事なこと
タケ:
事業を始めるにあたり、借金はしたのですか?
貫:
勿論しました。でも借金は、してよかったと思っています。借金がなかったらいつでも逃げることができるので。
同様に、上場もしてよかったと振り返る。会社の規模やレベルは、上がり続けないといけない。
当然、最初は難しいことばかりで、上場維持費用も必要になるが、その上場準備がなければ、むしろ急成長に耐えられなかったのだそうだ。
タケ:
その甲斐あって、業績好調ですね。いま不安なことはありますか?
貫:
むしろ不安しかなく、僕の経営は『不安経営』ですから。ダメになることを想定してやってきているから、常に改善を続ける。恐らくこの先もずっと。
天狗になったら一瞬で足下をすくわれるのが経営なのだと心得る貫さんだが、こうした成功を見て、他の企業が放っておくわけもなく、似たお店も登場している。
それについては、こうした考えを持っている。
貫:
寝ても覚めても『串カツ 田中』の事を考えている。だから似たお店を出しているところとは考えている時間が違います。
それに負けたら話にならないですし、そもそも向こうが考えられる人なら真似はしません。考えられないから真似しているので、考えられる僕らの方が強いのです!
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