前記事「巨人Amazonが手がける「Amazon go」と「融資事業」とは?」では、世界を席巻するAmazonの成長軌道や新規事業について報告した。 日本も例外ではなく、インターネットをとおしてあらゆるジャンルの商品が、Amazonを介して私たちの手に届けられる時代になっている。 ただ、ここにきて日本企業による巻き返しも始まっている。ただ手をこまねいて米国企業に日本の消費者を奪われ続けてはいられない……と、反撃体制に入った国内企業。単独のみならず、ときにはタッグを組んで「打倒Amazon」に向けて動き出した包囲網の実例を、今回はご紹介しよう。
国内スーパーマーケットの最大手のひとつイオンもまた、本格的なネット通販事業への取り組みを開始している。提携相手はソフトバンクとヤフー。日本全国に店舗を張りめぐらすイオンの商品力と、ITや人口知能などの最先端技術をもち、ネットでの集客力もあるソフトバンク、ヤフーの力を融合させたい考えだ。
具体的には共同で新しいショッピングサイトを開設し、イオンが調達した食品や日用品とともに、他社の商品も広く扱う本格タイプのサイトをめざす。また、イオンの実店舗ではネット事業から得られるデータを販売活動に利用するほか、ソフトバンクのAIやロボットを導入して運営効率化を図るなど、共同事業での相乗効果も視野に入れている。
各社独自の通販サイト新活用も、次々始動!
先に挙げた事例のみならず、各社独自の通販サイトも次々始動している。
たとえばローソンは、実店舗の商品にとどまらず、ネットで注文した生鮮食品をローソン各店舗で受け取れる新システムを発表。朝8時までに注文すれば、当日18時以降に店舗で受け取ることが可能になった。イメージとしては、自宅に配達してもらうことが前提の従来の通販とは逆のパターンにも思えるかもしれない。しかし、単身者や共働きの世帯にとっては幅広い商品のなかから必要なものを選べる一方、受け取りは必ずしも自宅ではなく、受け取りやすい時間に最寄り店舗で受け取れる便利さがウリなわけだ。ローソンからすれば、店舗受け取り時の“ついで買い”も期待できることになる。
さらに、すでに独自の通販サイト(オンラインショップ)を立ち上げている化粧品大手・資生堂をはじめ、イケアの日本法人イケア・ジャパンでは「将来的にはオンラインでのオーダーも可能にしたい」と言及。これに限らず、家具、婦人靴、結婚、医薬品……とジャンルを問わず、ここ数年で各領域、各社独自のEC事業が本格始動している。
── 通販サイトの使い勝手のよさ、便利さは米国の巨人Amazonのけん引力に拠るところが大きく、その充実ぶりによって国内各社も活況を呈し始めている。私たち消費者にとって、そうした切磋琢磨が商品の質の向上やサービス充実につながるのであれば、それに越したことはない。今後、ますます通販サイトが充実することを祈るばかりだ。
≪記事作成ライター:小松一彦≫
東京在住。長年出版社で雑誌、書籍の編集・原稿執筆を手掛け、昨春退職。現在はフリーとして、さまざまなジャンルの出版プロでユースを手掛けている。
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