構内通路での“右側通行”指示が混乱を招く

画像: ブログ「時事を考える」

2014.12.05

経営・マネジメント

構内通路での“右側通行”指示が混乱を招く

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

世の中にある「折角なのに惜しい!」シリーズの第2弾は、駅などの構内通路での通行方向表示。首都圏と大阪では、右側歩行を指示することはかえって混乱の元。

駅や商業施設などでの通路を管理する方々は当然ながら人の流れをスムーズにしたいと考えているはずで、だからこそ通行方向を示す矢印や「ここでは右側通行」といった表示を掲げているわけだ。であれば是非、多数派の歩行者の自然な行動パターンを取り入れた動線を設計していただきたいと切に思う。

この流れに逆らう動線を設計すると、意に反してかえって歩行者同士がぶつかりやすくなる通路が出現することになってしまう。

ちなみにこの「歩行者は左側通行が自然」というのは絶対的な法則ではない。首都圏および大阪地区に限ると云ってもよいかも知れず、名古屋ではあまり聞かない。

都心ではかなり顕著なことに気づいて、「武士が右手で刀を抜きやすくするため」とか「左側にある心臓を守る心理が働くため」とか、いかにももっともらしい説を述べる人もいるが、地方都市に行けば人によってバラバラだ。通りを歩く人たちを描いた江戸時代の絵ではやはりバラバラだそうだ。ドイツでは逆の右側歩行がかなり徹底されているが、ほとんどの国ではやはり人によってバラバラだ。

つまり人間本来の習性や心理とは全く関係なく、単に社会的に習慣づけられているかどうかのようだ。

ついでの話だが、周りが左側歩行しているのに「クルマは左、人は右だ」という誤った信念のために流れに逆行しようとする頑固者もたまにいるようだ(実行はせずとも、そうすべきと信じている人の「居酒屋演説」を聞いたことがある)。

日本での「クルマは左、人は右だ」という道路交通法はあくまで歩道と車道の区分のない一般道路を通行する際に適用されるもので、クルマが通行することのない構内通路や歩道には適用されない。念のため。

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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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