あなたの家族に忍び寄る”介護による家庭崩壊”の危機

画像: Wellcome Images

2014.09.23

経営・マネジメント

あなたの家族に忍び寄る”介護による家庭崩壊”の危機

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

あなたの親、またはあなたの配偶者の親が要介護状態になったら…。そのとき「在宅介護」を余儀なくされたら…。あまり考えたくないリスクとはいえ、家庭の危機はすぐそこに忍び寄っている。

日経ビジネスの最新号の特集は「隠れ介護1300万人の激震」。本人や配偶者の親が要介護状態で、会社にその事実を伝えていない「隠れ介護」が1300万人にのぼるという推計が発表されていた。政府の公式統計では約290万人だが、どうやらそれは甘い数字のようだ。

介護を理由に離職する人は今でも年間10万人に及び、今後さらに急上昇すると見られている。エース社員や会社随一の技能を持つ熟練社員がある日突然退職するリスクが高まっているのだ。

日経ビジネスは「経営リスク」という観点で注意を喚起しているのだが、一市民としては、それだけ要介護者が身近にしかも急速に増えつつある(2013年時点で約560万人)という事実に気づかされる。

一方、今後の日本社会のあり方を左右する介護制度は、「在宅介護」重視の方向に進められようとしている。

「在宅介護」重視とはどういうものだろうか。端的に言うと、介護が必要な高齢者を、施設ではなく、なるべく自宅で介護するというものだ。介護の担い手は、施設介護の場合には専門職の介護士だが、自宅介護の場合には家族が「主」で、訪問介護員(ホームヘルパー)が「副」、といった役割分担になる。

「在宅介護」重視の流れが強まっている背景には、介護給付が急増しつつあり、介護保険財政が圧迫されつつある現状がある。しかも今後ますます高齢者は増え、この傾向は強まるばかりだ。一方で介護保険を支える国家財政は極端な赤字だし、保険料を負担する労働者人口は今後減る一方だ。そのため介護給付を抑制する方策が色々と求められており、その有力な手段の一つが、費用の掛る「施設介護」から「在宅介護」への重点の切替なのだ。

しかしこうした政策転換が露骨な形で表面化する前に、実態として在宅介護が広がりつつある。

現実問題として介護施設の空きがないために、要介護度が高くなっても施設に入れず、自宅で介護せざるを得ないケースが増えているのだ。今進んでいるのは、老齢夫婦の片方の介護を配偶者がするというパターンか、または超高齢の親を高齢の息子・娘世代が介護するというパターンだ。いわゆる「老老介護」だ。しかしこの先はさらに世代が下りてきて、現役世代が自宅介護を余儀なくされる時期に入りつつある。

要介護度が高い老人を抱える現役世代の家族が自宅介護を余儀なくされると、どういう事態が生じるのか。そして多くの家族がその当事者になると日本社会はどうなるのか。よく考えてみる必要がある。

Ads by Google

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

当社は事業戦略・業務改革の2つのテーマを中心に、企業改革をお手伝いします。代表である私は、30年弱にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、ハンズオンの姿勢で、実践的かつスピーディな課題解決を心掛けています。事業戦略策定については新規事業・新市場進出を中心にお手伝いさせていただいておりますが、最近は既存事業の見直しも増えています。その際のスタンスは「選ばれる理由」を明確にすることです。またBPMのエヴァンジェリストとして、BPMアプローチ(KPIを軸に狙いと手段を整合させた上で、PDCAサイクルに沿った継続的プロセス改革を進める手法)による「空回りしない」業務改革を唱えております。詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。

フォロー フォローして日沖 博道の新着記事を受け取る

今日の編集部

今週もよろしくお願いします*\(^o^)/*

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。