仮説の“検証”とはどんなもの?(実例その1)

画像: Steven Lilley

2015.07.23

経営・マネジメント

仮説の“検証”とはどんなもの?(実例その1)

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

仮説の「検証」。よく使われる言葉でありながら、体験している人と未体験の人とで、認識しているイメージが随分違うのではないか。また体験数の多寡によってもイメージの幅が大いに違うだろう。「こんなのもありますよ」という意味で、幾つか実例を示したい。

短期間だったのでちょっと力技の要る作業ではあったが、新規事業に関わる「仮説検証」としてはオーソドックスなものだった。

二つ目はある外資系自動車部品メーカー(仮にYと呼ぶ)によるM&Aの例。

1)グローバルに分散する主な自動車製造拠点をカバーすること、2)日本の自動車メーカーへの食い込みを強化すること、そして3)互いの製品・技術がうまく補完関係を形成できること、の3つを期待し、ある金融機関が仲介した日本の同業者(仮にZと呼ぶ)を買収する案件の打診に応じ、デューデリジェンス(DD=精査)の作業に入った。

最初の2つが成立することは明らかであったが、最後の仮説は互いの技術を持ち寄ることではじめて可能になるものだった。

その具体策は、Yで開発された技術と製品をZの製品と組み合わせたら可能になるはずの、新発想の複合パーツ群だった。それが日本の自動車メーカーに評価されて売れるようになるのか、が問題だった。

まだDDの段階なので、資本提携が成立するかは誰にも確証がない。そのためZの社員が自動車メーカーに対し「こういう製品を出したいと考えています」と説明するわけにもいかない。

そこで小生とDDチームの一員(Yの技術者)が協力して資料作成し、自動車メーカーの技術者チームに対し市場調査と称して出向いた。そして新製品のコンセプトと併せて、既にその技術を適用してできた類似製品の機能と性能向上について説明し、その市場性に関するヒアリングをした。

これも仮説検証の一つの形である。

次回は業務改革的なカテゴリーにおける仮説と、その検証の事例をお伝えしたい。

(本記事は2013年10月19日に掲載されたものを再編集しております)

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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