日本企業に求められる「内向き同質体質」からの脱皮

画像: Paolo Gamba

2013.06.25

組織・人材

日本企業に求められる「内向き同質体質」からの脱皮

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

全日本柔道連盟の不祥事の真因は内向きで同質の組織体質である。それは多くの日本企業の課題でもある。

指導者の暴力問題、助成金の不正受給など一連の不祥事で、全日本柔道連盟の会長辞任問題が取り沙汰されている。

ガバナンス欠如などの指摘はその通りであろうが、その「懲りない」対応の底流にあるのは、同連盟が内向きの論理と「体育会系」体質一辺倒に染まっているからではないかと思わざるを得ない。

身内同士でかばい合う意識が強く、思い切った自己革新をできないのである。日本相撲協会でも以前、同様の不祥事や指摘が相次いだことを思い出す人も多いのではないか。

しかしこうした問題点やその主要因をよくよく考えてみると、過去に表面化した有名問題企業(オリンパス、雪印、大王製紙など)での不祥事とその際に問題視された組織体質とよく似ていることに気づく。

いわく、「おかしいと分かっていても指摘できない」「疑問を差し挟めない」という「場の空気」が不正の積み重ねを助長し、問題の深刻化に鈍感になっていったという。

実は我々が出入りする日本企業でも似たような雰囲気を感じることは少なくない。さすがに我々コンサルタントの面前で露骨に表面化することは滅多にないが、そうした状況を間接的に耳にするケースはよくある。

つまり先に挙げた問題企業は極端であるかも知れないが、例外ではないのである。

以前どこかでバンダイ取締役の松永真理氏やベルリッツ名誉会長の内永ゆか子氏が指摘していたと記憶しているが、「優秀な女性を活かせない日本企業が多いのは、異質を排除したほうが幹部にとってコミュニケーションが楽で効率がよく、居心地がいいからだ」というようなことだった。これは真理をついていると思う。

そして問題の本質は、そうした同質で固めた組織では「イケイケドンドン」の時には強い反面、現状に疑義を挟まないゆえに改革が遅れ、独創的なアイディアも出にくいことである。つまりイノベーションには向かない組織体質なのである。

小生は業務改革や組織改革の際によく、変革への「5つの壁」という話をする。

元々小生のいたアーサー・D・リトルという戦略コンサルティング会社で開発した組織変革手法の一つなのだが、最初の壁は「認識の壁」である。

そもそも問題があると思っていない段階では、人は変革・改革などという面倒くさそうな話には乗ってこない。「解決しよう」と持ち掛けても真剣に検討する気にならず、表面だけ付き合うふりをしながら適当にお茶を濁すといった行動を見せる。「内向き同質組織」ではとりわけ「認識の壁」が分厚く、そこを突破するのに多大なエネルギーを要する。

PR

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

当社は事業戦略・業務改革の2つのテーマを中心に、企業改革をお手伝いします。代表である私は、30年弱にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、ハンズオンの姿勢で、実践的かつスピーディな課題解決を心掛けています。事業戦略策定については新規事業・新市場進出を中心にお手伝いさせていただいておりますが、最近は既存事業の見直しも増えています。その際のスタンスは「選ばれる理由」を明確にすることです。またBPMのエヴァンジェリストとして、BPMアプローチ(KPIを軸に狙いと手段を整合させた上で、PDCAサイクルに沿った継続的プロセス改革を進める手法)による「空回りしない」業務改革を唱えております。詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。

フォロー フォローして日沖 博道の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。