ブラック企業と呼ばれないために今できること

画像: Kevan

2013.07.18

組織・人材

ブラック企業と呼ばれないために今できること

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

以前なら「体育会系だねぇ」で済まされていたような会社まで、今やある日突然に「ブラック企業」扱いされかねない。自業自得の側面もあるが、よほど経営者が自覚を持たないと、「明日は我が身」である。

(本記事は小生のブログに以前書いた内容を再掲載したものです)。

ある縁でその地のコンサルタント仲間に要請され、地方のある中堅企業を何度か訪ね、経営改革を議論したことがある。イシュー(論点)は色々と変わったが、小生が何度か蒸し返したのが、営業改革を通じての企業体質変革であった。それには理由がある。

その会社はその地方では有力な上場企業だが、今の経営トップが一代で築き上げた急成長企業である。

典型的な叩き上げ型である経営トップの号令下、積極的な営業方針で伸びてきた。それでも今や子息の代になって組織の近代化を進めており、本社の管理手法などは東京の大企業と(少なくとも表面上は)同じようなものを取り入れている。

しかしながら営業のやり方、管理の仕方に関しては昔のままである。一匹オオカミ的な営業マンが個人の才覚で、狙った客に飛び込み訪問する「プッシュ型」である。営業所長もプレイングマネージャーとしてノルマを持つ。

ここまでは実にありふれた典型的「ニッポンの営業組織」なのだが、この会社、営業マン個人に対する歩合の比率とその報酬額が実に高く、1件受注に成功するとXX間(微妙なので数字は伏せる)くらいは遊んでいても構わないほどである。

その結果、営業マン同士は、互いの案件を横取りすることはさすがにしないが、全く連携しない。上司も部下への指導よりは、自分の受注を上げるのが最優先である。

それでどうなるかというと、地元人脈を押さえているベテランが高度に安定した成績を続けて稼ぐ一方で、若手はなかなか成績が上がらず、その多くが定着せずに辞めていく。結果として中堅層は少なく、極端に忙しい。すると若手へのOJT実施者が不足し、若手の離職率に拍車を掛けている。

こうした状況が望ましいとは当該企業も思ってはいないが、長期にわたった不況下、高い離職率でも新人獲得には苦労が少なかった。ましてやその地方では有数の高給会社である。多少仕事がきついという評判でも入社希望者は絶えなかったので、取り立てて特別な対策をしてこなかった(「無策」だったわけではないが、聞いてみると小手先の対策ばかりである)。

その状況を小生が問題視し、チーム式営業を基本として推進体制とプロセスを変えるように持ち掛けたのである。

しかしながら窓口である経営企画部門の人たちの腰は重かった。最高権力者である経営トップがウンと言わないだろう、へたをすると怒鳴られかねないと懸念したのである。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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