ブラック企業と呼ばれないために今できること

画像: Kevan

2013.07.18

組織・人材

ブラック企業と呼ばれないために今できること

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

以前なら「体育会系だねぇ」で済まされていたような会社まで、今やある日突然に「ブラック企業」扱いされかねない。自業自得の側面もあるが、よほど経営者が自覚を持たないと、「明日は我が身」である。

なぜならこうした「札束でビンタ」の「一匹オオカミ」営業方式でずっとのし上がってきた会社なので、それを否定することは経営トップには受け容れがたいと考えたようである。

結局、その話はそれ以上進まず、未だにその会社は同じやり方を続け、若手の定着率は改善していない模様だ。

新人の採用・教育のコストはばかにならず、こうした定着率の低さはそれだけで勿体ない損失である。

しかしそれ以上に、小生はこの会社の未来を心配している。今はまだ表面化していないが、いまどきの「ブラック企業」として非難される条件を十部に備えているからである。

若手から見るとその会社は、(1)(「注文を取ってくるまで帰ってくるな」などと言われ)拘束時間が長い、(2)(歩合は高いが受注しないと得られない。それに対し固定の)給料は安い、(3)営業所長からは(営業成績が上がらないことで)叱責はされるが有効な助言・指導はない、(4)結果として多くの若手が辞めていく、といった具合である。

その企業の名誉のために付け加えておくが、同社は何ら違法行為を行っているわけではなく、本来の「ブラック企業」の定義には当てはまらない。しかし今や就職時期にある学生たちにいわせると、こうした若手が定着しづらい企業は押し並べて「ブラック企業」の資格を満たしているのである。

いずれそのうちに、辞めた元社員が2ちゃんねるや自分のブログ、もしくはfacebookなどにこの実態を書き込むだろう。それにコメントで拍車を掛ける者、知人に転送・シェアする者が出て、パンデミックのようにある時を境に急増殖する。

そうなるとこの会社も今どきの「ブラック企業」リストに仲間入りしてしまう。すると途端に入社希望者が減り、今まで何とかつながっていた新陳代謝のサイクルも途切れる。いずれネットに疎いはずの顧客層にもその評判が伝わり、競合に商売を奪われてしまうだろう。

同社の経営企画部門の人たちには「苦い良薬」を経営トップに何とか飲んでいただくよう、勇気を振り絞って「猫に鈴をつけて」いただきたかったが(小生にやらせてもらえば説得する自信はあったが)、とりあえずは先送りとなった。さて今後はどうなるだろう。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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