「事業計画は“人”で決める」グラシアス・松本崇氏に聞く 創業期の乗り越え方

2018.04.16

経営・マネジメント

「事業計画は“人”で決める」グラシアス・松本崇氏に聞く 創業期の乗り越え方

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南青山リーダーズ株式会社

どのように事業を展開し、軌道に乗せていくか――。創業間もない会社にとって、これより大切なことはないと言っても過言ではない。法人携帯や複合機の販売をはじめ、さまざまな分野で企業のコスト削減をサポートする株式会社グラシアスは、まさに創業期を乗り越え、次のフェーズに移ろうとしている企業だ。 2018年3月で6期目を迎えた同社は、これまでどんな道のりを歩んできたのか。設立者であり、現在代表取締役をつとめる松本崇氏に聞いてみた。 (聞き手・仙石実・公認会計士、税理士/構成・株式会社Tokyo Edit 大住奈保子)

独立の一番大きなきっかけは、当時の部下の誘いでしたね。私は「やろう」と即答しました。彼は今グラシアスの専務なのですが、異動などのタイミングがぴったり合ったということもあり、自然と「一緒に事業をやりましょう」という話になったんです。そこにあと1人のメンバーも加わり、3人で会社を立ち上げました。

事業計画は頭で考えるより“人”で決める

(仙石)会社設立の誘いに即答されたということは、ある程度「独立しても大丈夫だ」という自信がおありだったのでしょうか。

(松本)いえいえ、自信はまったくありませんでした。でも、彼のことを信頼していましたし、誘ってくれたこと自体がうれしくて、YES以外の回答は思い浮かびませんでしたね。

その証拠にというか、順風満帆な船出では決してありませんでした。まず、誘ってくれた彼が「僕がいくらかお金を貯めているので大丈夫です」と言うので「いくらあるんだ」と聞くと、なんと30万円で(笑)。私の高校の同級生からお金を借りて、なんとか会社を作ることができました。

その後も資金繰りが厳しくなって、月末に口座残高がたったの5,000円になったこともありました。そのときはさすがに、もう会社がつぶれるかもしれないと思いましたね。キャッシュフローをしっかりと考えることの大切さを身に染みて感じました。

(仙石)それは大変でしたね。どのように切り抜けられたのでしょうか。

(松本)そのとき私がしたのが、社員の給料を増やすことでした。これでより仕事に打ち込んでもらえば売上が上がり、キャッシュフローも改善すると思ったんです。結果的にこの読みは当たり、すんでのところで倒産をまぬかれました。

業績が悪くなったら社員を切り捨てる会社もあると聞きますが、そんなのは論外です。むしろ業績が悪いときこそ人に投資しなければならないと思っています。こういう気持ちが伝わっているのか、グラシアスは離職率がとても低いんですよ。
しかも、若くして結婚したとか子どもが生まれたとか、幸せな報告をしてくれる部下が多い。これはうれしいことですよね。社員同士の仲もよく、プライベートでも交流があるほどです。

(仙石)それはすばらしいですね。一方で、業績が悪いときに人件費を増やすというのは、なかなか勇気のいることですよね。なぜそのようなお気持ちになられたのでしょうか。

(松本)人って、まずは愛されないと動かないと思うんです。条件のよさや仕事のやりがいは、その次。それに社員が満足していなければ、お客様に満足していただけるようなサービスも提供できませんよね。
だから私は、ついてきてくれた人を自分から愛し、社員とその家族までは必ず幸せにするという気概で経営に取り組んでいます。

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