いま、日本ワインがアツい! 日本版ワイン法施行で変わる「国産ワイン」

2018.04.16

経営・マネジメント

いま、日本ワインがアツい! 日本版ワイン法施行で変わる「国産ワイン」

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南青山リーダーズ株式会社

日本版ワイン法ともいうべき国税庁告示「果実酒等の製法品質表示基準」が、きたる2018年10月30日に施行されます。 2016年度の国内市場における国産ワインの比率は31.0%であり、日本ワインのなかには国際的な賞を受ける高品質なものも出てきました。国際的な認知度の高まりとともに輸出も増え、「消費者が適切に商品を選べるよう、表示を分かりやすくすること」を目的として作られた国の新基準です。「国内で収穫されたブドウのみで醸造されたものだけを日本ワインと表示する」という厳格な表示基準を満たすべく、ワイン製造業者は銘柄名の変更などの対応に追われています。

国産ワインラベル厳格化の波紋

山形県上山市のタケダワイナリーは1979年の発売以来、1300万本を売り上げた看板商品の赤ワイン「蔵王スター」銘柄を、2017年産を最後に「タケダワイナリー・ルージュ」に変更しました。これは醸造所のある蔵王から少し離れた天童市産のブドウを主に使っているため。同様に、小樽以外のブドウも使っていることから、北海道小樽市の北海道ワインでも「おたるナイヤガラ」を、「おたる醸造ナイヤガラ」に変更しました。

一方、表示を社名にすることで、変更を最小限に抑えるワイナリーもあります。山形県西村山郡朝日町の「朝日町ワイン」は2017年産から「(有)朝日町ワイン」になりました。最大生産地の山梨県では、一つの地域に多数のワイナリーがあるため地域名をラベルに使う例は少なく、影響はあまりなさそうです。その他、輸入ブドウを原料に使いながら「国産」として表示されているワインもあり、新基準に沿ってラベルを見直さなければならない業者がさらに出てくることは間違いなさそうです。

新表示基準と「日本ワイン」の定義

これまで、わが国においてはワインの定義が存在せず、ラベルの表示も、もっぱら業界の自主基準に委ねられてきました。この自主基準では、輸入原料を使用したワインでも「国産ワイン」に含まれることから消費者の誤解を生みやすいなど、諸外国の表示ルールと比較すると時代遅れの感が否めません。こうした背景から国際水準にあわせた、日本版ワイン法ともいうべき新基準が求められてきたのです。

新基準は2015年10月30日に、「製法品質表示基準」を定めた国税庁告示第18号と「地理的表示に関する表示基準」を定めた国税庁告示第19号として国税長官より告示され、2018年10月30日に施行されることになりました。
「国内製造ワイン」のうち、国産で収穫されたブドウのみで醸造したものに限って「日本ワイン」として表示を義務付け、この定義に合致するものだけが、厳しい要件のもと、産地、品種名、年号を表ラベルに表示できることになったのです。

国内のワイナリーは283場


2016年、ワインの生産、または出荷の実績がある製造場は国内に283場あります。これを生産者の数でみると全国で231企業、都道府県別では、山梨、北海道、長野、山形、新潟の上位5道県で全体の約6割を占めています。生産規模別では82.3%が100キロリットル未満の小規模業者であり、1000キロリットル以上生産する大手企業7者で全生産量の83.6%を占める構造に。国内製造ワインの生産量は85794キロリットル、そのうち19.4%が日本ワインです。

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