『マスターズインタビュー』今回は、株式会社侍の社長を務める為末大さん。 為末さんは1978年、広島県の生まれ。400メートルハードルの選手の日本代表として活躍。2001年の世界陸上で3位に入り、スプリント種目の世界大会で日本人初のメダルを獲得した。 シドニー、アテネ、北京と3回のオリンピックに出場を果たすも、2012年の日本選手権で予選落ちし、現役を引退した。 スポーツ界に常に一石を投じてきた為末さんが、いま思うこととは?文化放送『The News Masters TOKYO』のパーソナリティ・タケ小山が迫った。
スポーツ選手のセカンドキャリア
タケ:
現在の活動について教えて下さい。
為末:
現在の活動の半分はメディアなどでの個人活動、もう半分はスポーツに関する事業を請け負っている会社としての活動です。
イベントや新豊洲にある施設の運営をこなす一方で、最近は『Deportare Partners』というプロジェクトをスタート。これは協会・選手・スポーツビジネスの担当者など、各セクションごとに分かれているものの橋渡しをする役割で、こうしたスポーツのプラットフォーム作りに邁進しているのだそうだ。
例えば、卓球のプロリーグでは、立ち上げチーム、メディアのチーム、選手の3者がシェアオフィスをしており、一緒になって話をすることで、色々と「これをやってみよう」というのがアイデアが出てくるのだという。
しかし為末さんは、最初から今の活動を思い描いていたのだろうか。
タケ:
引退後のセカンドキャリアは、どのように考えましたか?
為末:
僕も悩んだ時期はありました。大事なのは、期待値を下げることですかね。
為末さんは、自分がスターでいる時期があったので、電車に普通に乗るのも気恥ずかしい時代があったという。しかし、ゼロからスタートするのは、その点に苦労したのだそうだ。
タケ:
現役から準備しておくことってありましたか?
為末:
唯一、現役のときに言えることは、知り合いを紙に書いてみて、半分以上がスポーツ関係者だったら、アラートを鳴らしてスポーツ以外の関係者を増やせということです。
自分で知り合いのバランスを整えることが大切なのだそうだ。話す内容が違って、そこから新たに見えてくるものがあるためだ。
為末さん自身も、考えているつもりだったが、リアリティを持ったのは引退してからだったと振り返る。もし、本気で考えるなら、漠然とでもいいので現役、それも高校生くらいの頃から考えた方が良いとも加えた。
為末流リーダーシップ
タケ:
現役引退後、さまざまな活動をされていますが、新しいことを思いつくのはどんな時ですか?
為末:
常に考えています。社員からは“思い付きやめてくれ”、と言われていますけど(笑)。
特に、全然ジャンルが違う人と喋るとアイデアが出るのだという。例えば、以前訪れた「子ども学会」では人工知能の学者も一緒に「学ぶとは何か」と話しているのを見たが、そのとき自分の頭が膨らんでいくのを感じた為末さん。
「これはアスリートに置き換えられないか?」と感じたという。というのも陸上界には陸上界の人しかいないのが当たり前。しかし、アシモなどのロボット学者や脳神経学者、二息歩行の研究者が揃ったら各界に理解が深まるのではと考えたそう。
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