捨て猫を受け入れたら業績アップ! 「お客様より社員が大事」という会社

2017.11.22

経営・マネジメント

捨て猫を受け入れたら業績アップ! 「お客様より社員が大事」という会社

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南青山リーダーズ株式会社

年1回、社員の働きがいと幸せを追求する企業を表彰する第3回「ホワイト企業大賞」において、特別賞の「人間力経営賞」を受賞した栃木県の有限会社アップライジング。専門は中古タイヤ販売と買取修理だが、何が評価され、その受賞に至ったのか? アップライジング・齋藤幸一社長にタケ小山がインタビューを敢行した。

プロボクサー引退後のセカンドキャリア

学生時代には全国に名を馳せ、プロボクサーとして活動していた齋藤社長。24歳で現役を引退し、選んだのはプロボクサーの時に使っていた健康食品の販売の仕事。しかし、武士の商法とでもいうのであろうか。ことは上手くいかなかった。

齋藤:
売れなくて借金いっぱい作ってしまって。そこで廃品回収のような仕事を始めてゴミステーションに出せないような、タンス・ベッド・冷蔵庫を引き取ってました。その仕事を始めて良くなっていきました。

タケ:
その中から中古タイヤに?

齋藤:
そうなんです。“このタイヤ捨てて”って言われたんですが、「これ捨てちゃうんすか!? 勿体なくないですか!? まだまだ使えますよ!」ということがありました。

売りたい気持ちはある。だが、店舗を構える程の資金はない。そこでネットオークションに目をつけて出品したところ、全国から入札が殺到した。これを契機に、齋藤社長はタイヤに特化することを決意する。借金を返済する日々を過ごす中、日本が未曽有の大混乱に陥った2011年3月11日、東日本大震災を迎える。

その最中、懇意にしているラーメン店の店主から炊き出しに誘われた。

齋藤:
行っても何もできないんです。

と言いつつも、引っ張られる形で気仙沼へ。灯りもなく、そして舗装も完了していない道をひたすら進む一向。生々しい爪痕の残る気仙沼にて、齋藤社長はラーメンを手渡す係を担当した。そこで、あるおばあちゃんが「温かいものが久々に食べられること、さらにあなたたちが栃木から来て、励ましてくれたことが嬉しい」と言って涙をボロボロ流したという。

齋藤:
人の喜び我が喜びだ!と思ったんです。

この炊き出しの経験から、困りごとを解決することを趣味にすることを決意したのだった。

アップライジングは、タイヤを売らないタイヤ店

タケ:
タイヤ店さんだから、タイヤはあるんですよね。タイヤ以外もあるんですか?

齋藤:
ありますね。宇都宮店に入るとすぐ“猫ルーム”があります。猫ルームがあれば、ガラスの向こうから癒されたり、待ち時間に遊べたり。

驚くことに、そのほとんどが捨て猫だったそうだ。NOとは言わない齋藤社長は、時に従業員が拾ってきた捨て猫さえも引き取ったのだ。タイヤ購入を検討する顧客の大半は男性と思われがちだが、こうしてできた猫ルームが、アップライジングの顧客男女比を1:1にしている。さらに、猫ルームの他に「無料レンタル会議室」も備えている。これが地域の奥様方やPTA、さらに会社に好評で高い頻度で使われるのだそうだ。

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