世界主要債券利回り上昇鮮明に

2017.11.08

経営・マネジメント

世界主要債券利回り上昇鮮明に

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南青山リーダーズ株式会社

前回レポートで話題にしたECB(欧州中央銀行)の金融緩和政策の出口論をきっかけに、世界主要国の債券利回り上昇の動きが広がってきました。今週はECBの議事録が発表され、インフレ見通しが一段と高まれば、金融緩和のバイアスを維持するかについて見直す可能性があると記述されていました。 先月下旬のドラギECB総裁の講演の中で、デフレ圧力かリフレに変わってきているとの内容を裏づける、資産購入の縮小(テーパリング)を開始されるのではとの観測が強まります。ユーロ圏債券の指標独連邦債10年利回りは0.56%水準にまで上昇してきています。

そしてこの影響からか、他の主要国債券市場は右にならえの状態になってきました。まずはお隣英国を見ましょう。
下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は、英債券つまりギルト債10年の過去3年間の利回りの推移を示しています。現在1.31%と1ヶ月ほど前の1.00%から上昇してきています。
ECBの金融緩和が解除方向に向かう、つまり資産購入の縮小が始まることと、BOE(イングランド銀行)が利上げに近く踏み切るのではとの期待感からの相乗効果のように思います。BOEは先月開催の金融政策委員会で政策金利(Bank Rate):0.25%据え置きを決定しました。しかし委員8名のうち3名の委員が反対し、利上げを主張する委員が増えています。(これまでは全員一致の議決が多かったように思います。)
今週はマカフィーBOE委員が、もし成長が予想通りに継続した場合は、緩やかな利上げがあるだろうと発言されています。英国経済は、第1四半期GDP(国内総生産)2.0%前年比、5月消費者物価指数2.9%前年比となっています。

結論から言うと、良い経済状態と言えます。BOEのインフレ目標は2%です。これを超えるインフレ水準に現在はなっていると言えます。普通に考えれば利上げに踏み切っても良さそうです。それを阻んでいるのが、Brexit問題つまり英国のEU(欧州連合)離脱問題と言えます。英国が欧州との経済関係、金融関係まで制約を受けるとなると、相当経済には悪影響が出てくることが予想されます。エコノミストはあれこれ算出するものの、そのコストが実際にはじき出されていないと思います。
カーニーBOE総裁は、経済状態からだけで利上げには踏み切れないでしょう。Brexitの英国経済の悪影響が最小限に留まると確信してから、踏み切るのではないでしょうか。2年後に正式にBrexitとなりますが、その段階まで待てないとも言えます。利上げ主張の委員が3名いるという事実から、今年後半にも利上げに今年中に踏み切る可能性が出てくるのではと思います。
また量的緩和政策の一環である資産購入プログラム4,350億ポンドも次第に縮小する傾向を強めるものと考えられます。このような状態からギルト債売りの利回り上昇となってきています。グラフでは昨年初めの水準が2.0%であり、この水準を目指して上昇するのではと思います。

独以外のユーロ圏諸国債券では、スペイン10年債1.71%とこちらも1ヶ月前の1.48%からは上昇しています。選挙で荒れたフランスも、10年債0.92%(0.67%:1ヶ月前)と上昇しています。そして安全資産として買われる傾向のあるスイス債10年はマイナス圏から脱して0.04%となってきています。1ヶ月前には-0.18%でした。欧州の債券市場模様が把握できます。

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