景気上昇を実感できない日本、日銀も苦悩

2017.10.24

経営・マネジメント

景気上昇を実感できない日本、日銀も苦悩

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日本の経済環境は一向に改善する気配がないようで、先進国が金融緩和からの出口戦略を模索する中、一人取り残されているようです。 そこで今回は、日本の経済状況と日銀の金融政策を振り返ってみましょう。

第1四半期のGDP(国内総生産)は、0.3%前期比、1.0%前期比年率となっています。下記のチャート(出所:内閣府)は、前期比ベースでの推移について2014年から示しています。大きな落ち込みはないものの、目立った伸びも見られない状況と言えます。
特にここ2年間は0.3%~0.4%の伸びであり、これが結果的に日銀の目標であるインフレ率2%達成が困難な状況にあることを如実に物語っているようです。

このグラフをもとに、端的に纏めてあるIMF(国際通貨基金)の日本の解説部分を読みました。外部からの冷静な見解によると、GDP予想は、今年1.3%前年比成長を予想しています。一番の儲け口は外部要因です。つまり輸出体質が依然として根付いているということです。これまでは、この体質を改善しないといけないと散々言われてきましたが、依然として改革がなされていないようです。直近の貿易統計を見ても、6月貿易収支5,185億円黒字と、黒字体質基調に戻っています。一時期原油高もあり、輸入が極端に増えていき、赤字体質の貿易収支にありました。
しかし、ここの所元通りの黒字体質に戻ってきています。参考までに、経常収支について言及すると、今年上半期経常収支10兆5,101億円黒字と、国内企業が海外で投資して稼ぐ収支がリーマンショック後最高収益となっています。このことを考えると、輸出と共に、海外投資でも収益を稼ぐ構造になっていると言えます。その意味でも、国内で稼ぐ体質を見つけないといけないと言えます。

そのことを、IMF報告書では辛口で語っています。国内個人消費、投資は緩やかであり、インフレ率は頑固なほど低くなっています。失業率は25年ぶりの低水準にあるにも関わらず、賃金水準は上昇しない状況であると指摘しています。男女格差は依然として現存しているようです。そしてIT企業などハイテク分野を除いた外国人労働者との賃金格差もあるようです。この辺りの構造改革の必要であるのでしょう。
賃金上昇→個人消費刺激→価格上昇の好景気の循環に入るのには、まだ時間がかかるようです。政府としても公的債務がGDPの240%にのぼり、また消費税引き上げが2019年秋にずれ込む状況から、大胆な政策が打てないジレンマに陥っている状況と言えます。この辺りのことをIMFは鋭く指摘しています。そして今後の人口減少と、外国人労働者を受け入れるべきかIMFの議論は続きます。

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