合同説明会の正しい活用法

2017.03.07

組織・人材

合同説明会の正しい活用法

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

3月1日の新卒採用広報活動解禁とともに、一斉に会社説明会が始まりました。学内や就活情報会社主催の企業説明会・合同説明会があらゆるところで開かれています。各社がブースを作り、直接説明を聞くことができる一方、では何を話すべきなのか、聞くべきなのかについてはわからないという学生がほとんどです。

1.誠意と根性というカン違い
合同説明会における企業ブースの光景は2つに分かれます。学生であふれかえる有名企業と、ほとんど学生が来ずに閑古鳥が鳴いている「学生に知名度の低い」企業です。しかしこの学生知名度というのはきわめて偏っており、いわゆるコンシューマーカンパニー、テレビCMをやったり、日頃目にする製品やサービスの企業だけに集中する傾向は、以前から変わっていません。

人気企業、有名企業ブースでは、同じ学生で何度も再訪する者もいます。その企業ブースを何度も訪れることで、誠意や根性を訴えたいという話を聞いたこともあります。しかし企業側からすれば迷惑ではあっても、そのような無意味な誠意も根性を評価するはずがありません。

「アピールの誤解 土下座で交際してくれることはありません2017」(増沢隆太)
https://www.insightnow.jp/article/9368

中にはボストン・キャリア・フォーラムのように、海外で留学中の日本人学生や外国人学生に向けた合同説明会に、わざわざここに日本から参加する、留学生でも何でもないただの学生もいます。採用対象でもない日本人学生に遠路来られても、立場上嫌な顔もできず、しぶしぶ対応せざるを得ない企業にしてみれば迷惑この上ない話です。


2.「聞いてどうするの」質問
これだけインターネットが発達した今、情報として得られるものはたいてい何とかネットで得られます。実際に合説での企業ブースのやり取りでは、どうみてもその会社のWebサイトに書かれているような「見りゃわかるだろ」質問や、「御社における有機化学専攻の修士のキャリアパスを教えて下さい」的な、「わかる訳ねーだろ」質問も飛び交います。

私はコミュニケーションも教えているので、トンチンカンな質問ではあっても、それを聞く姿勢自体を否定したくはありません。それでもどうせ質問するなら、自分のためになるとか、アピールにつながるような質問ができる方が良いに決まっています。説明ブースに行っても何も聞かない学生は少なくなく、ただ座っているだけの学生より、自らコミュニケーションを取ろうとする姿勢ははるかにましです。

なぜ的外れな質問となるか、コミュニケーションの目的が絞られていないのだと思います。それは合同説明会を通じて達成すべきコミュニケーションが何であるかという設定です。企業情報や採用情報、応募要領等は普通はネットで簡単に得られるはずなので、せっかく時間とエネルギー(&交通費)を割いて会場まで行く以上は、ネットで得られないものを取る必要があります。


3.「答」ではなく「材料」を得る
その会社が良いか悪いかなど、誰にもわかりません。どれだけ質問しようが、そんな答えは得られる訳がありません。それよりもその会社がどんなビジネスをしているのか、「商社」とか「プラント会社」というような広すぎるくくりではなく、「自ら生産設備を持たずに調達によって顧客ニーズを満たす。設備投資が無い分、取引価格が重要」というような、商売の仕組みを理解する必要があります。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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