経営戦略構文100選(仮)/構文9:プロダクトポートフォリオマネジメント

画像: ぱくたそ

2016.10.18

経営・マネジメント

経営戦略構文100選(仮)/構文9:プロダクトポートフォリオマネジメント

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。

通り一遍のマトリクスの説明をしてみます。

市場シェアは低いけれど、急成長市場にいる企業は、成長のために多くの資金を必要とします。将来の業績には不確実性があるため、この部分を「問題児」と呼びます。

反対に、市場シェアが高く、低成長市場にいる事業は、収益性が高く投資はそれほど必要としません。

新規客が要らないので、広告宣伝費も抑えられます。従って多くの資金を獲得できるため「カネのなる木」やら「キャッシュカウ」というわけです。

「負け犬」は低成長率で低シェアの部分で、他の部分に移動する見込みはほぼありません。原則として売却対象となりますね。

高成長率、高シェアの事業は「花形」で多くの資金が必要ですが、将来は「カネのなる木」になってくれる可能性が高いですので、投資対象となるわけです。

ただ、事業の資金を社内で還流させる考え方は資本市場が発達した現代にはやや不自然ですし、事業関連性の記述ができません。従って、現在ではあまり使われなくなってきています。

ここでいう事業関連性とは何か?と言えば、通常はケイパビリティ関連性です。事業を拡大する際に、現状の組織のケイパビリティを無視する考え方は非常に厳しいものがあります。

ただ、この考え方が主張された1970年代は、無秩序に多角化を行った米国企業が事業の再編成の考え方を欲していた時期ですからね。このマトリクスにあてはめて機械的に事業を整理するという意味ではとても便利だったと思います。

米国は独占禁止法が厳しいので、1つの市場で勝ちすぎると、裁判所にやられてしまいます。ですから、成長のためには他のマーケットに機会を求めるしかないのです。しかし、当時はどういった市場に進出するのがいいかといった知見はこれといってありませんでした。

私の大嫌いなレビットが、無根拠に「鉄道事業が衰退したのは、人や物を目的地に運ぶことと捉えず、車両を動かすことを自らの使命と定義したこと」とか言っちゃっていますが、こんな考え方で拡大したら、コングロマリットディスカウントが起こりまくるでしょうね。というか、実際に起こってしまったわけですけど・・・。

いまだにレビットを信じている人が本当に本当にたくさんいますが、自己啓発書と同じで元気になる文章ならなんでもいいという人がたくさんいるんでしょうね・・・。これだから「マーケティング」な方々がストラテジーを語るのが嫌なんですよ。本当に害悪でしかない。修正する私の身にもなってください。でも、それでおカネもらってるんでしょ?と言われればそれまでですが、もうちょっと前向きな仕事がしたいものです・・・。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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