「美しい」について[1]~美とはなんだろう?

画像: Yasushi Sakaishi

2016.07.03

ライフ・ソーシャル

「美しい」について[1]~美とはなんだろう?

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

14歳から大人まで 生きることの根っこをかんがえる『ふだんの哲学』シリーズ 〈第3章|価値〉第4話

また、美しいは見て感じるだけではありません。「美しい音」のように耳で聴く場合もあります。あるいは舌で味わう場合もあるでしょう。食べ物が「おいしい」を、漢字では「美味しい」と当てます。

このように「美しい」とは、物や人の外面にあらわれるなにかについて言うことが多い。ところが、わたしたちは人の内面にも目を向けます。内面が澄んでいて、善いことをすすんで行う人のことを「あの人は心が美しい」と言います。人の内面は目に見えませんが、目に見えないものを心で美しいと感じるのです。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

さて、ものごとが美しいと感じるとき、わたしたちはそこからなにを感じ取っているのでしょう。───それはおそらく、ものごとが持っているなにか「良いこと」であったり、「すぐれていること」であったり、あるいは「善いこと」、「生きる力の根源に近いこと」ではないでしょうか。

ここでの「良いこと」とは、たとえば、快さを与えてくれる、清らかである、整っている、秩序があるなどのような状態をいいます。そうした性質・状態が美しさに通じているというのは、次のようなことを想像するとわかりやすいかもしれません。

 ○快さを与えてくれる
  →ショパンの作ったピアノ曲の旋律は美しい

 ○清らかである
  →山の雪解け水が集まって川をつくる。
  そのキラキラとした流れは美しい。

 ○整っている
  →朝礼の列が縦横にぴしっと整っていると美しい。

 ○秩序がある
  →機械式腕時計の裏ぶたを開けると、小さな部品が秩序をもって正確に動いている。
  それは美しい。

 ○うっとりさせる
  →その国民的アイドルは美しい顔だちで多くのファンを魅了した。

 ○理にかなっている
  →鳥が飛ぶ姿は美しい。
  それは自然の法則にさからわない無駄のない動きだから。

 ○機能的である
  →扇子(せんす)は広げれば風を起こす大きな形となる。
  そして蛇腹(じゃばら)折りにして棒状に収納できる。
  この機能的な形は美しい。

また、「すぐれていること」というのは下のような性質・状態のことで、これもまた美しさに通じています。

 ○能力がたくみに発揮されている
  →何十年もの修行を積んだ職人さんの手の動きは美しい。

 ○研ぎ澄まされている
  →アインシュタインの論文は明晰で、導き出された法則の数式は美しい。

 ○品格がある
  →この書は実に美しい。書いた人間の気高い精神が込められている。

さらに、「善いこと」というのは次のような性質・状態のことで、美しさに通じています。

次のページ○正しい

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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