『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』中島聡(文響社) ブックレビューvol.10

2016.06.21

ライフ・ソーシャル

『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』中島聡(文響社) ブックレビューvol.10

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

タイトルを見て、ドキッとした方も多いのではないだろうか。仕事は確かに、予定通りには終わらないものだ。もちろんたいていの方が、仕事を一つ受けるたびに予定を立て、締切りに間に合わせようと努めているだろう。けれども、スケジュール通りにことが運ぶことは滅多になく、いつもぎりぎりになって慌てふためく。そんなことは、本書を読めばなくなる(はずだ)。

100人に1人もできない「締め切りを守ること」

ことほど左様に、締め切りをきちんと守るのは難しい。締め切り破りこそは、ほとんど人間の性といっても良いのかもしれない。だから「私が仕事をするうえで最も大切だと考えている『あること』をきちんとこなせる人は100人に1人もいませんでした(同書、P147)」と、著者は語る。『あること』すなわち締め切りを守ることだ。

守れない理由を著者は、ラストスパート思考にあると指摘する。期限までまだ時間がある間はゆったりと構えて、ぎりぎりになって必死に頑張れば何とかなる………これぞラストスパート思考、諸悪の根源なのだ。単純な事務仕事ならともかく、思考を要する業務、例えば企画をまとめる、資料を整理して用意する、原稿をまとめるなどの作業において、十分に考えたり、推敲する時間のないのは致命的である。

焦ると必ずどこかに粗さが残るもの。完成品の精度を高めるためには、時間をかけて見直すしかない。我が身を振り返ってみても、推敲に3日ぐらいかけることができれば、訂正が戻ってくる率は劇的に減る。

大切なのは、やっつけ仕事で締め切りに間に合わせることではないはず。求められたクォリティ(できる限り、それ以上のものを)を、時間通りに提供すること。これがプロの仕事である。

ロケットスタートがすべてを変える

どうすれば締め切りを守り、かつ質の高い仕事をこなせるようになるだろうか。答えは、ラストスパート思考から、ロケットスタートへの転換を図ることだ。

ロケットスタートとは、仕事を受けた瞬間から、全力で取り掛かることである。仮に締め切りまで10日ある場合、最初の2日間に集中して「ほぼ完成」まで持っていく。コツは「考えてから手を動かすのではなく、手を動かしながら考え(同書、P155)」ること。下手な考え休むに似たりとは至言である。

企画書ならタイトルを書き(仮でいい)、各ページの見出しを書いてみる。次に各ページの内容を箇条書きにしてみる。必要な図があるなら、ラフスケッチを手書きする。原稿も同様である。仮のタイトルを置いて、見出しを作り、各見出しの本文の内容を箇条書きにする。

こうして仮の仕上げを目指す。といって完成原稿でなくて全然構わない。とにかく最初の2日で、いったんひと通りやり終える。そこで思っていた以上に時間がかかりそうなら、3日目にリスケジュールをお願いする。これは締め切り直前での「泣き」とは異なり、理路整然としたリスケである。相手の納得度が天と地ほども違う。

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