日本企業のものづくりのすごさ

画像: m-miki

2016.01.27

経営・マネジメント

日本企業のものづくりのすごさ

野町 直弘
調達購買コンサルタント

日本企業のものづくりのすごさはIoTとかスマート工場とか様々なキーワードが飛んでいますが、実はそんな恰好いいことではなく、マネジメント手法そのものではないか、という指摘です。

このようにさらなる生産性向上や安全性向上などの取組みを日々おこなっているのが、工場現場であり、これはこの企業だけでなく、日本のものづくりの現場に共通している特徴と言えます。

私が以前ある自動車会社の役員さんから聞いた言葉で印象に残っているものがあります。
それは「いい現場は直ぐに変わる」という言葉です。その時はお客様向けに自社工場のご案内をその役員さんがなさっていたのですが、数週間現場を見ていないと(改善が進むので、)自社工場がどんどん変わってしまう、しかし変わる工場は改善が進む工場だ、ということをおっしゃっていました。

このように多くのものづくりの現場には絶え間ない改善が日々積み上げられているのです。

また今回工場見学をさせていただいて改めて認識したのは、「共通言語」の力です。工場マネジメントのためには現場の社員一人一人が分かりやすいシンプルな共通言語が必要です。たとえば今回の企業でも「からくり」アイディア「ストライクポイント」「バリュ-4(全てハーフで2倍のものづくり)」というような共通言語がありました。とても分かりやすいです。こういう共通言語は意思伝達や規範にもつながります。

以前私はメルマガでトヨタ、GEの共通点で共通言語があり、その共通言語に従って業務遂行がなされている点も強みの一つであるということを書きました。http://www.insightnow.jp/article/2132

しかし、今回の企業や、他企業での生産革新活動などの事例を見ても共通言語を上手く使っている事例は多く見られます。つまりこのような共通言語を使ったマネジメントも日本のものづくりに共通する特徴の一つなのです。共通言語は単に言葉ではなく規範であり、ルールであり、業務遂行の源泉になります。5Sの躾と同じ効果があるのです。

このように絶え間ない改善と共通言語という二つのポイントは、日本企業のものづくりの現場でのマネジメント手法と言えます。最近はものづくりというと職人的ものづくりが注目されていますが、実は日本企業のものづくりのすごさは、このようなマネジメント手法にも存在すると言えるでしょう。正直、日本国内でものをつくり続けることはコストが掛りすぎる時代になりました。
絶え間ない改善を進めていっても新興国でものを作った方が圧倒的にコスト的に有利な状況かもしれません。しかし、このようなものづくりの現場のマネジメント手法は日本企業のものづくりの強みであり、それを新興国に展開していることが正に競争優位につながるものでしょう。

翻って調達購買の世界はいかがでしょうか。絶え間ない改善は行われているでしょうか。共通言語などを以て社内や部内のルールや業務を徹底することができているでしょうか。まだまだ足りない部分は多いと再認識した次第です。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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