調達購買部門の新しい役割

画像: Roy Hodgson

2015.12.25

経営・マネジメント

調達購買部門の新しい役割

野町 直弘
調達購買コンサルタント

2015年の調達購買の役割に関して時代が新しい役割を求め始めています。キーワードは「インテリジェンス機能の強化」と「調達基盤の確立」です。

キーワードは「インテリジェンス機能の強化」と「調達基盤の確立」です。

今年の後半から私のメルマガでも何度か取上げさせていただいたのですが「インテリジェンス機能」とは調達購買部門が情報収集・分析し経営や社内に対して価値のある情報提供をしていく機能をいいます。調達購買部門には様々な情報が集まりますし、集めることができる部署です。例えば支出の可視化を図り、全社の支出最適化につながるような情報収集、分析、提供を「購買白書」のような形で全社に対して実施している企業もあります。また、特に昨今の様々な原材料やサービスの市況や各国の景況、為替の動向など益々まだら模様になっており、実際の現場での情報収集や現場の視点からの分析の重要性が増してきていることは間違いありません。
このようにインテリジェンス機能を高めて経営や全社に対して貢献していくことが一つ目の新しい役割と言えるでしょう。

2点目は「調達基盤の確立」です。
そもそも調達購買部門の役割・目的とは何でしょうか。コスト削減?相見積?コスト分析?交渉?サプライヤ選定?サプライヤ評価?どれも手段でしかありません。調達購買部門の本来の役割・目的は「サプライヤとの強固な信頼関係づくり」であり、「サプライチェーン全体で競争力強化に貢献すること」、ではないでしょうか。もしサプライヤとの間で強固な信頼関係があり、そのサプライヤが他社に対して競争力があるのならコスト分析やコスト査定、コスト削減の交渉すらやる必要がなくなるのです。相見積を取る必要性もなくなります。これが目指すべき調達購買部門の姿であり、正に「調達基盤の確立」と言えるでしょう。

現実問題としてこんなことは難しい、やはり細かく査定するとコストを膨らました箇所は必ずある、とか、会社の要請として毎期コスト削減しなければならないので、そのコスト削減交渉は必ずやらざるを得ない、というような皆さんの声が聞こえてきます。しかし、実際にある調達先進企業は(調達部門の)コアミッションは「自社商品が最高の価格競争力をそなえるために、最高の調達基盤をつくること」であり、最高の調達基盤を「強固な相互信頼関係を長期継続できる仕入先群の基盤」と定義し、調達購買部門の役割であると明確に定義しているのです。
またある企業はサプライヤマネジメント活動を最重要視しており、その為の専門要員を多く抱えるだけでなく、四半期に一回の評価活動や評価結果の改善活動、マネジメントを巻き込んだ定期的なサプライヤとのミーティングの実施など、かなりの負荷や経営資源をかけて実施しています。この企業にとっての調達購買業務は「相見積」をとって「比較」したり「交渉」することではないのです。正に強固な信頼関係を築き「調達基盤の確立」を目的にすることが調達購買活動であると定義しています。

他にもいくつか調達購買部門が果たさなければならない新しい役割はあるでしょう。
様々な改革が上げられますが、特に昨今日本企業でも気がつき始め、一部企業ではその取組が始まっている調達購買部門の2つの「新しい役割」について取上げました。

2016年が多くの調達購買部門やバイヤー担当者のために良い年であることを祈念しております。

皆様良いお年をお迎えください。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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