病院の共同調達は普及するか

画像: PhotoAC acworks

2015.11.16

経営・マネジメント

病院の共同調達は普及するか

野町 直弘
調達購買コンサルタント

先日日経新聞の一面にも取り上げられていましたが、病院の共同購買は今後普及していくのでしょうか。

これが冒頭で私が病院の「共同調達」は益々進むと言ったことの論拠です。しかし、アウトソーシングが成り立つ条件はいくつか上げられます。まずは利益相反がないことです。GPOの事例で考えますとアウトソーシングすることに病院もGPOも全く利益相反がありません。CAFのシステムや情報開示のやり方などはアウトソーシングを成立たせる条件となっています。次は透明性の確保です。CAFに関する情報公開は正に病院側の信頼を保つための仕組みになっています。またそもそも市場価格に対して高い価格で買っていないのか、という病院側の不安を払拭する仕組みになっていることも、アウトソーシングの向いている条件の一つと言えます。もう一つの条件は、無理なコスト削減を求めないことです。病院は最安値は求めていません。そこそこの価格でもいいので、市場価格並みの価格で買うことを求めています。価格などは需要と供給で決まるもので、ここで安価購買を求め、無理な値引きやサプライヤに負担を強いることにつながると事業の継続は難しくなります。

いいアウトソーシングを成り立たせるためにはこのような3つの条件が要件と言えます。
そう考えると病院だけでなく中小企業にもGPOのような購買アウトソーシングは有益と考えられます。従来中小企業では自社の事業の競争力に影響するような仕入については社長がやっていて、その他の買いモノについては総務のアシスタントがやっている、というのが一般的でしょう。このような環境でも「利益相反がない」「透明性の確保」「無理なコスト削減を求めない」という三つの要素は満たしやすく、何らかの形で「共同調達」は今後推進されていくと考えられます。


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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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