景気低迷期における社員教育の考え方

2008.01.10

組織・人材

景気低迷期における社員教育の考え方

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

企業の社員教育は一種の遅行指標で、すぐさま景気の変動を受けるものではない。なぜなら、前年度にあらかたのプランができあがっており、当年度はその実行に当たるからだ。 しかし、今回の景気失速の見込みは、多くの企業がまさに来年度(4月以降)のプラン策定期におこったため、縮小が予想される。

■社員教育は単なる教育にあらず

ある企業では、「顧客視点を見直そう」というテーマで、現場の全管理職を対象とした研修が行われている。顧客視点は昨今のマーケティング環境においては必須である。顧客の支持なくして企業の存続はあり得ないのだから。
だが、意地悪な見方をされれば、そんなものは当たり前で、わざわざ習うようなものではないとか、それを習得したからといってどれだけ業務成果があがるのかという論もあろう。しかし、その企業は、「現場に対する影響力が強い管理職全員の意識が変われば、会社の文化も変わる」という信念で粘り強く実施している。

日本能率協会が昨年6月から7月にかけて行った、「2007年度(第29回)当面する企業経営課題に関する調査」では、<3年後の経営課題として「人材強化」が「収益性向上」を上回り、最重要課題となる>として、具体的には<約5割の企業が前年対比で教育予算を増加させている。前年より強化している分野は、「新入社員研修」(39.5%)、「中堅社員研修」(36.1%)、「中級管理者(部課長)研修」(35.2%)が挙げられた。>という結果が発表されていた。
わずか半年前のことではあるが、ここに来て景気の不透明感が増す中で、どれだけその課題意識が保てるのかが問われるだろう。じわじわとした弱体化に繋がらないことを願う。

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