『イーロン・マスク 未来を創る男』アシェリー・バンス(講談社) ブックレビューvol.4

2015.10.15

ライフ・ソーシャル

『イーロン・マスク 未来を創る男』アシェリー・バンス(講談社) ブックレビューvol.4

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

世界では、ごく稀にGifted Childと呼ばれる子どもが生まれる。先天的にきわめて高い能力を持っている天才児のことである。そんな子どもが長じて、物理学(=ロジック)と経営学(=マネジメント)を学び、1週間100時間のハードワークをこなし、「人類を救う」強い意志を持っていたら、どうなるか。イーロン・マスクになる。



見ている世界が違う

2014年、イーロン・マスクは突如、テスラの全特許をオープンソース化すると発表した。自社の強みの根源を、誰でも使って良いと差し出すのだ。一企業の競争戦略としては、ありえない話である。
けれども、これもイーロン・マスクにとっては、当たり前の話なのだ。なぜなら、彼のテーマは「人類を救う」ことであり、そのためには、みんながもっと電気自動車を作るようになり、みんながもっと電気自動車に乗ることが必要だから。
イーロン・マスクは、毒舌家として誤解されている面もある。つい最近も「うちをクビになった社員を、アップルがせっせと雇っている」などと公言して物議をかもした。だが、彼の発言は悪意によるものではないケースがほとんどだと、本書は指摘している。
彼の発言がときに常軌を逸したようにみえるのも「マスクは、自らに課せられた使命の緊急性を本当に理解しているのは自分だけだと思いつめることがある(同書、P289)]からだ。「世界と何とかしたいという切迫感。マスクが神経をすり減らしている原因がそこにある(同書、P298)」からだ。



誰が、次のイーロン・マスクになれるのか

知性の鋭さとハードワーキングなら、日本にもイーロン・マスクに負けない人物がいる。一年中で元旦の午前中しか休まない社長、日本電産の永守重信氏である。永守氏も一代で、売上1兆円を超えるモノづくりの企業を創りあげた。その日本電産は10兆円企業をめざしている。
永守氏も、超ハードワーカーであり、飛び抜けた知性を持つ人物だ。ただ、イーロン・マスクのような「人類を救う」意思を持っておられるかどうか、そこはわからない。
世界を変えた起業家は、何人もいる。エジソンに始まり、最近ならスティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、ラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリンらがそうだろう。こうした起業家たちとイーロン・マスクの違いは、ただ一点。イーロン・マスクは「人類を救わなければならない」と思い込んでいる点にある。
一体、どういう子どもが44年間生きるとイーロン・マスクのようになるのか。その謎を解く鍵は、本書にある。

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