日本人選手に決定力がないと言うあなたに~個として強い職業人を考える

画像: uemura

2015.07.13

組織・人材

日本人選手に決定力がないと言うあなたに~個として強い職業人を考える

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

【シリーズ:個として強い職業人を考える】 組織力は高いが、「個」で局面を突破できる選手が少ない……日本のスポーツ界でよく言われる批評だが、いざ自分は職業人としてどうなのだろう。

え?まだ平社員だから、そんな権限持って何かをさせてもらえない?……実はその考え方自体が、すでに上で触れた「会社人」意識にどっぷり陥っている姿かもしれません。

◆万年レギュラーポジションのダレは出ていないか
プロスポーツのレギュラーポジション争いは厳しい。野球なら9人、サッカーなら11人。その枠を狙って常に選手たちがしのぎを削る。スターティングメンバーに起用されなかった選手でも、試合中、ピッチの脇で監督に「オレを使え」と無言のアピールをする。

ひるがえって、会社員はどうでしょう。いつもなにかしら担当を任され、自分の仕事がなくなることはありません。むしろ人手不足の昨今は仕事が増えるばかりです。これはいわば、「万年レギュラー」の立場が保障されている状態です。もちろん安定的に長期雇用されることは望ましいことです。しかし、そこに甘えると保身にこもる悪い面が出てきます。安穏とした環境が強い個を生まなくなる大きな理由です。

◆定年が35歳だとしたら……
プロスポーツ選手が第一線で活躍できる期間はとても短い。30代後半で現役を続けられる人はごくまれです。それと同じように、もし、いまのあなたの会社が35歳定年制だとしたらどうでしょう。おそらく、緊張感をもって1日1日仕事に向かうでしょう。定年後も食っていくための準備を必死になってやるはずです。人間、終わりがわかっていれば、意識が覚醒するものです。

おりしも先日、日本経済新聞のインタビュー記事(2015年7月9日付朝刊)でイタリア・プロサッカーチームACミランに所属する本田圭佑選手は次のように語っていました───

「もう29歳になりましたから。恐ろしいですね。ええ。日経新聞を読んでる方には“若いくせに何を言っている”といわれそうですが、サッカー選手として、29歳はキャリアの先が見えてくる年齢なわけで。そのせいもあってか、時間に対する考え方、1年の重みをすごい感じるようになって」。

たとえば、会社員であるあなたは、「35歳でFA(フリーエージェント)宣言する!」と心に決めてみてはどうでしょう。そのタイミングで起業するもよし、転職するもよし、あるいはFA宣言したものの結果的に現在の会社に残留するというのもよし。個としていやがうえにも牙(きば)が出てくると思います。

◆ムラ社会の中でそこそこ安住していくことを「美しい」とするか
私自身は遅ればせながら、38歳のときに独立を決意し、40歳で実行しました。サラリーマン生活最後の2年間というものは、ほんとうに感覚が鋭敏になった期間でした。これまで雇われサラリーマンのルーチンワークとしてうんざりぎみの交通費の伝票書きひとつにしても、それがどんな書式になっているのか、それがどんな処理プロセスに乗っているのか、それらを在職中にくまなくみておかねばなりません。この先、自営業を始める私にとってはそれもこれも自分で把握すべき管理の仕組みになるのですから。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

フォロー フォローして村山 昇の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。