ソリューションを考えるには、まず本質的な課題を設定しよう

画像: U.S. Army

2015.02.03

仕事術

ソリューションを考えるには、まず本質的な課題を設定しよう

日野 照子
フリーランス ライター

2025年問題に向けたIT企業の新規事業企画案を事例にコンサルタントの課題設定を解説してみた。

 何かのソリューション(解決策)を売ろうと思うのなら、やはり正しい課題を設定すべきだ。まず、やるべきことの主語をはっきりさせる。誰が、何をやるべきなのか。このことはすなわち、誰がうれしいのか、誰がその対価を払うのか、へとつながる重要な手がかりになる。

 高齢者はそもそもそれほど困っていないし、本当に困っている人は、自分でお金を払ってサービスを求めることもできない。アイディアシートにあるような高齢者問題は、要するに高齢者には保護者が必要だという一点に集約できる。赤ん坊ができることを増やして成長していく間、世話をする保護者が必要なように、高齢者はできないことが増えていく間、保護者が必要なのである。要介護でなくとも大抵の後期高齢者はこの状態にある。しかし、自分にできないことは何であるかを、客観的に自己認識し、対価を払って支援者を求める高齢者はほとんどいないだろう。
 このくらいまで課題の本質を考えておけば、おのずと方向性がでてくる。高齢者からのアクションを期待しないでいいタイプのソリューションを考えればいい。

 課題をちゃんと設定すると、解決策が具体的になってくる。解決策が具体化すると動きがでてきて、実現に近づく。方向が見えていれば、どうしても乗り越えなければならない壁が何かも見えてくる。そして、それを越える方法を考えることができる。だから、解決できない課題はない、と言い切ることができるのだ。

 件のアイディアシートには「実現性」という欄があり、法律・制度上の難易度、技術的な難易度などが記載してあった。アイディア時点からそんな心配をするより、本質的な課題と対峙し、社会の役に立つソリューションをぜひ生み出してもらいたいものである。

*1 2025年問題 : 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることに由来する医療・介護領域を主として発生する種々の問題のこと。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

日野 照子

フリーランス ライター

いつか時代は変わる。言葉は世界を変え、思いは伝播していく。誰かが誰かを抑圧し、搾取する社会を変えたい。

フォロー フォローして日野 照子の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。