【地方創生のススメ】地方と都会をつなぐ“回路”づくり

2014.10.14

経営・マネジメント

【地方創生のススメ】地方と都会をつなぐ“回路”づくり

「地方創生のススメ」編集部 (東京過疎化プロジェクト)
合同会社RegionWire

全国各地で地域活性化に向けて取り組んでいる企業・団体を紹介する「地方創生のススメ」。今回は「世なおしは、食なおし。」をスローガンに、東北の食材と情報誌をセットにした「東北食べる通信」を運営するとともに、このモデルを全国に広めるべく取り組んでいるNPO法人東北開墾を紹介しよう。

===“傍観”から“参加”へと意識変容を促すために===

「食べる通信」は毎月1回1,980円にて食材と情報誌がセットになって家庭に届けられる。情報誌では毎回特集を組んで農家や漁師、酪農者といった生産者の食に対する想いや生き様を紹介し、そして彼らが生産した食材が一緒に送られてくる。

(画像)食材と情報誌がセットになって届く”食べる情報誌”

「まずは『食べる通信』をきっかけに“知ってもらう・理解してもらう”ことが第1段階ですが、その次には“自身で動く”“参加する”、つまり“消費者”から脱却して“主体者”になってもらいたいと考えています。傍観者としてあれこれ言っていても何も変わりません。主体者として自ら行動することで、そこから何かが生まれるのだと思います。」(同)

とは言えいきなり仕事や家庭を顧みずに参加することも難しいため、まずは片足だけ突っ込んでみて、より意欲が高まったら本格的に関与すれば良いだろう。そのためのエントリーに“食べる通信”にしていきたいという。

(画像)取材の様子(右:代表理事・高橋氏)

また情報誌に加えて、生産者と消費者をつなぐ手立てとしてFacebookを積極的に活用している。昔は生産も消費も域内で行われていたので、生産者と消費者がお互い顔なじみで、「あんたが作った**、美味しかったよ!」などと“食”を通じたコミュニケーションが当たり前だった。しかしそれが経済成長期に入り、生産地と消費地が離れてしまったためにお互いの顔がわからない状況に陥っていてしまった。

しかし時は流れて現代ではSNSが一般的になってきたので、日常的に両者がつながることが出来る“コミュニティ”を作ろうと考えた。これにより今まで生産者は流通に乗せたらおしまいで、消費者の顔を見ることが出来なかったが、Facebookを通じて届く消費者からの声が励みになっているという。また消費者側も実際に生産者に会いたいと、わざわざ生産者を訪問する人まで出始めているそうだ。

さらには東北で始まった「食べる通信」だが、最近では全国各地で次々にご当地「食べる通信」が始まっている。

「震災後に全国各地から若者が東北に復興支援に来てくれました。そんな彼らに『東北に来てくれるのは本当に有難いけれど、一方で君たちの故郷では過疎化や高齢化などの問題はどうなの?』と聞くと、みな下を向いてしまったのです。確かに東北は津波があって大変かもしれないですが、過疎化や高齢化といった地方が抱える課題は、東北に限らず全国各地が抱えている問題です。したがって東北こそが地方が抱える課題を解決する先頭に立ち、そして全国各地にそのモデルを広げていきたいという想いが当初からありました。」(同)

とは言え東北だけでも6県あり、各県には数十の市区町村がある。さらには東北以外でも全国各地に生産者がいる。したがって東北開墾が日本全国を網羅するのではなく、その土地の人たちに主体的に取り組んでもらうのが一番であり、「おらが町でも始めたい!」という地域に対して、スタート時から円滑に進められるように「食べる通信」というモデルを“お裾分け”しながら横展開する形を採っている。

次のページ===主体的且つ段階的に地方との関わり合いを深めていく...

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