のびしろを持つということ

2014.04.16

経営・マネジメント

のびしろを持つということ

野町 直弘
調達購買コンサルタント

人生や物事にとって「のびしろ」や「のりしろ」はとても大切なことなのです。

私は小学生の頃定期的に購読していた雑誌等に付録されている紙製の簡単な組立て工作を作るのがとても好きでした。特に記憶に残っているのが「のりしろ」という言葉です。言うまでもなくこの「のりしろ」部分に接着剤や糊をつけて組立てをするのです。場合によってはこの「のりしろ」に番号が書いてあって同じ番号どうしを貼りつけると工作ができるようになっていて子供心に「のりしろ」というのはとても便利なものだな、と感じていました。

「のりしろ」に似た言葉で「のびしろ」という言葉があります。私はこの言葉も大好きです。
「のびしろ」とは、「伸び代」と書き、“まだ成長する余地があること”を意味します。昔から若手の社員や後輩に対して「のびしろ」を持ちなさいと言ってきました。
「のびしろ」の「しろ」とは「のりしろ」の「しろ」と同様に“ある目的のために余分に必要な余白部分”という意味なのだそうです。どちらの言葉にも共通するこの「余分なしろ」という意味合いがとても大事なことなのです。
本当に必要かと言われるとそうでもないけれど、その「しろ」があることで便利さや成長につながるという意味合いが含まれているからです。
特に今すぐ必要でなくても、将来仕事や人生の肥しになるということがとても大切です。
「のりしろ」にしても「のびしろ」にしても共通しているのは、自分が意識をしなければ(自分が持とうとしなければ)それに気づくことはありません。

私は調達購買人材向けの研修を日々やっていますが、研修をやっていて(もしくは研修の引合いを受けた時に)良く言われることがあります。それは「この研修は私の業務に役に立つのでしょうか?」とか「当社は独特な業種なのだがこの研修は当社にあっているのでしょうか?」ということです。
ある程度のカスタマイズは否定しませんが、そもそも研修とは一般化された体系的な知識を教えるものです。ですから「これは私の仕事とは違うから・・・」「これはうちの会社とは状況が違うから・・・」というのは単に応用力や創造力が欠如していると言わざるを得ません。
一般化された体系的な知識を如何に自分の業務や自分が今直面している課題を解決する手法として応用できるか、これが正に「のびしろ」がある人なのではないでしょうか。

それでは「のびしろ」を持つためにはどうすればよいでしょうか。

私と坂口孝則氏が2005年に立上げた購買ネットワーク会に参加されている多くの方々はとても自主性に富んだ方が多く、また気づきが鋭い方も多く、ある意味「のびしろ」が大きな方ばかりがいらっしゃいます。これらの「のびしろ」を持つ多くの方に共通する思考法は「面白い」とか「興味深い」と感じる感受性が強いことです。
何か事象があった時に、もしくは情報に触れた時に、もしくは話を聞いた時に、それに感受性強く接することで「面白さ」や「興味」を感じる、ここから次に自分の仕事や人生に落とし込み考える、ことができるという思考法を知らず知らずのうちに身に付けているのです。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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