生の声マーケティング・・・キリン・ザ・ゴールド

2007.12.11

営業・マーケティング

生の声マーケティング・・・キリン・ザ・ゴールド

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

「キリンラガー」「一番搾り」 に続く3番目の定番商品としてキリンが17年ぶりに投入した 「キリン・ザ・ゴールド」(以下、「ゴールド」)。 「ゴールド」は、今年(07年)3月の発売当初こそ順調でしたが、 その後の売上の伸びは鈍く、8月に年間販売目標を800万ケース から600万ケースへと下方修正。

現在もそこそこコンスタントに売れてはいるようですが、
関係者が期待したほどの売れ行きとはなっていません。

しかし、ゴールドの特性を考えると、
例えば、アサヒのスーパードライを打倒できるような
一般大衆向けの商品ではありません。

つまり、期待が過剰だったというのが現実でしょう。

ゴールドの特徴を簡単に挙げると次の3点です。

・苦味の少ないまろやかな味わい
・アルコール度数低め(4.5%)
・高級感と洗練さを感じさせる落ち着いたデザイン

こうした特徴に魅力を感じるのは、
ビールより焼酎系、カクテル系に流れがちな若年層
(特に女性)ですよね。

つまり、ビールをガブガブ飲む私のようなヘビーユーザー
ではなく、ライトユーザーが中心顧客層になる。

当然ながら、販売数量的には、
それほど大きく伸びるはずもない。

ですから、ゴールドの場合、
販売数量の極大化を狙うのではなく、従来のビールでは
苦味が強すぎたり、アルコール度数が高くて1缶(350ml)は
飲みきれないといった理由でビールを敬遠していた層を
がっちり掴むことのできる定番ビールとして育てられるべき
じゃないでしょうか。

さて、以上のようなことを考えるために役立つ、
ゴールドに対する消費者の生の声を教えてくれたのが、
先日発売されたばかりのこの本です。

『なぜ、キリン・ザ・ゴールドは求められるのか』
(喜山荘一編著、ドゥ・ハウス)

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同書では、ゴールドを飲用している消費者300人を対象とした
自由記述主体のアンケート調査によって、ゴールドに対する

「生の声」

が豊富に掲載されています。

こうした生の声を元に、

ヒット商品の「なぜ」
(なぜ売れているのか、求められるのか)

を読み解くのが、編著者の喜山氏の言う

「なぜ解き」。

興味のある方は、
ぜひこの本を読んでみてもらいたいのですが、
アンケートに回答した消費者は、
ゴールドの特徴やベネフィットをきっちり
理解・把握できているんですよね。

本来のターゲットに該当するユーザーには、

「ゴールド」がなぜ高く評価されるのか?

がよくわかります。

私も、ゴールドを久しぶりに飲んでみて、
確かにバランスの取れた本格派ビールだということ
を再認識しました。ただし、やはり物足りないので
常飲はしませんが。

やはり現状では、
ゴールドのターゲットイメージが拡散気味で、

「誰のためのビールか?」

が不明確になっているのが問題だと思いました。

この点を改善すれば、商品力は高いだけに、
定番ビールの一角を占めるブランドとして安定軌道に
乗れるんじゃないでしょうか?

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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