消費動向調査から漂う「疲れ」

2007.12.10

営業・マーケティング

消費動向調査から漂う「疲れ」

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

博報堂が12月5日に消費動向調査の結果を発表した。 今年のキーワードは「原景消費」。 「自分の原点を見つめて体験し直す」という消費スタイルが進行したとのことだが、少々違うものも見えてくる気がする。

残りの3つ、「ミッドタウン」「TSUBAKI」「クロックスのサンダル」。
みんなが良いと言っている。多少高いが外しはしないから購入する。そんな意識がこれらの商品からは感じられる。

実際には買わずにやはりあこがれるだけ。本質的でないもの。わかりやすいもの。みんなで外さない選択。それが代表例としてあげられた商品を別の解釈で考えたときのKBF(Key Buying Factor)だろう。
これらをつなぐものは、「面倒な消費はしたくない」「あれこれ考えるのは疲れた」という意識ではないだろうか。何年か前から「物欲の減退」を口にする人が増えている。もはやモノが満ちあふれ、本当に必要なモノはほとんどそろってしまったと。「消費に対する疲れ」。そんなキーワードで括れるような気がしてならない。

消費意欲の低減は「ニーズの低減」でもある。
ニーズとは何らかの不足状態であり、その不足状態を解消する対象物が「ウォンツ」である。
不足状態を感じないのは豊かな時代の表れではあろう。しかし、飽くなき好奇心があれば、何らかの不足状態は発生する。ところが、新しいモノを求めるのではなく、原点回帰だったり、わかりやすさや人との同調だったりするのはあまり前向きな感じがしないのだ。
際限なく欲求を満たすことは、昨今の環境負荷低減生活が推奨される中、慎むべきだろう。しかし、新しい消費の喜びを生活の張りにするようなポジティブな発想を持ち、その消費の対象物が現れることも望みたい。

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金森 努

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コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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