EQはコンペテンシーか?これはどのようにEQを認識するかで答えが異なり、研究者の間でも見解が分かれます。 EIリサーチ社ではEQはコンペテンシーを下支えする基礎的な能力だと位置づけます。ちょっと長くなりますが、理由を述べさせてください。
ここで本題に戻り、EQを野球に例えて考えて見ましょう。優れた野球選手になるためにはバッティング、捕球、投球、ランニング、スラディングなどのコンピテンシーが必要だとしましょう。しかしそれぞれのコンピテンシーが発揮できるかは、そもそもの肉体的能力、例えば筋力が必要となります。ランニングには大腿筋、投球には肩の筋肉や上腕筋と言うように。
EIRでは狭義の意味でのEQ(4つの能力)がこの筋肉にあたり、その高低が筋力にあたると考えます。ちょうど、握力は握力計で測定でき、それがバッティング力と関係するように。そして「EQ的コンピテンシー」、例えば「共感力」が発揮できるかどうかはこの4つの能力のバランスや強さで予測できると考えます。もちろん100%ではありませんが。それは共感を示すためには:1.相手の表情から悲しみを読み取り(感情の識別)、2.自分の気持ちを相手の気持ちに近づけ(感情の利用)、3.そしてなぜ悲しくなったかを状況から推測し(感情の理解)、4.それに応じ、適切ななぐさめの言葉をかける(感情の調整)、と言うような、まさにEQの4つの能力の発揮が必要となるからです。
よって、EIリサーチの見解では、EQはコンピテンシーではなく、コンピテンシーを発揮するための基礎能力となります。
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2010.03.20
2015.12.13
横井 真人
産業能率大学 教授
個人と組織のパフォーマンス向上を研究。人の行動をスキル、知識、行動意識、感情能力、価値観等の要素に分解し、どの要素が行動に影響を与えているかの観点からパフォーマンスを分析。職場のコミュ二ケーション、リーダーシップ、チームビルディング、ファシリテーション、ソリューション営業、マーケティング等の具体的施策に視点を活用する。